7月18日からのアンケートのまとめです。

「一矢を報いる」という言葉の使い方について伺いました。
勝負において「相手に一矢を報いた」といわれるのはどちら側?
勝った方 18.7%
負けた方 66.2%
両方ありうる 15.1%

3分の2が、「一矢を報いる」は負けた側についてのみ使う表現だと回答しました。単に反撃するという意味ではなく、「劣勢を覆せない程度の」反撃をする、という考え方で用いる方が多数派であるようです。

勝った側について使えると考えた方は、出題時の解説で述べたような、通算対戦成績で見た場合の「一矢」といったいろいろな場面を考えたのでしょうか。それとも単純に「逆襲して勝つ」といった意味で使うこともあるのでしょうか。

毎日新聞の過去記事での用例を眺めていくと、この言葉を使う際には、勝負をどのようなスパンで切り取っているかがポイントになると感じました。

まず分かりやすいものとしては、1-4で敗れた卓球の試合の「第4ゲームで一矢報いた」。一つの試合の経過において、相手に打撃を与えた部分についての表現です。

これが少し長期的な観点になると、例えば、人間とAIの囲碁の五番勝負はAIの4勝1敗だったという記事で「4戦目では人間が一矢報いた」。当該対局については人間が勝ったけれども5回戦う勝負のスパンで考えているために、これは敗者側への表現として当てはまります。プロ野球のペナントレースで前半戦が終わる際、低迷するチームが首位チームに勝利し「一矢報いた」というものもありましたが、前半戦全体を総括する文脈では妥当でしょう。

こうすると、今回「勝った方に使うか、負けた方に使うか」などとしたのは単純化しすぎたアンケートだったかもしれません。「勝ち」「負け」の枠組みをまず確定させることが必要なのでした。

ただ、例えば4戦先勝のプロ野球日本シリーズで3連敗の後に勝利しただけで「一矢報いた」と書くのは気が早いんじゃない? 結果的にこれは一矢にとどまらず逆転してしまう可能性があるよ、と感じる人は多そうだと今回のアンケート結果から言うことはできるかもしれません。先走って敗者を決めてしまったように受け取られる使い方ではないか注意したいと思いました。


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