6月18日からのアンケートのまとめです。

「首相」と「総理」、どちらを使うかについて伺いました。
内閣総理大臣のことをどう言いますか?
首相 33.3%
総理 21.4%
どちらも使う 45.3%

「首相」3割、「総理」2割、「どちらも」半数弱と回答は割れました。

新聞では明治時代から「総理」も「首相」も使われてきました。新内閣が誕生したときの昔の毎日新聞(前身の東京日日新聞を含む)紙面を見ていくと、昭和に入ったあたりで既に「首相」表記が優勢で、戦中~終戦の頃には「首相」が圧倒的に多くなっています。

1889年の内閣官制では「内閣総理大臣ハ各大臣ノ首班トシテ機務ヲ奏宣シ旨ヲ承ケテ行政各部ノ統一ヲ保持ス」、現行の日本国憲法でも「内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する」とあります。「首相」は法律上の名称でなく、多くの辞書が書くように「内閣総理大臣の通称」なのですが、この通称の方が新聞の主流になりました。

そうなった経緯は想像するしかありませんが、字数の節約のために国務大臣を「外相」「法相」など短縮表記とする場合、「首相」の方が統一感が出るといったことが考えられます。また、「内閣総理大臣」とは限らない海外の「prime minister」を日本語にしたときに、ぴったり「首相」に当てはまる(どちらも「トップの大臣」という意味)ため、日本と外国の名称を対応させるのに都合が良かったのかもしれません。

一方、テレビの各局ニュースを聞き比べてみたところ、NHKでも民放でもアナウンサーが読み上げるのは「安倍総理」「安倍総理大臣」ばかりでした。「しゅしょう」というのは発音が難しかったり視聴者が聞き取りにくかったりするため避けているのでしょう。同時に表示される字幕では「安倍首相」としている局もありました。

閣僚に関しても新聞のように「経産相」と略したりせず「経済産業大臣」などのように読んでいました。「けいさんしょう」と聞いてすぐに何のことか分かる人は少ないでしょうし、「経産省」と紛らわしいということもあります。実際に新聞原稿では「〇〇省」と「〇〇相」の変換ミスがしばしば見られます。

新聞で使われる「首相」がわずかに上回ったことを喜んでいいのでしょうか。ネットでのアンケートですから、回答者の方たちはどちらかというとテレビの報道番組よりネットの活字ニュースから情報を得ている、というほどのことかもしれません。


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