6月25日からのアンケートのまとめです。

「巻きを入れる」という言葉について伺いました。
お役所のメモに出てきた「巻きを入れる」という言葉。使いますか?
使う 9%
使わないが、意味は分かる 36.2%
使わないし、意味も分からない 54.8%

「使う」という人が1割弱、過半数が「使わないし分からない」という結果になりました。

「フェーズ」のようなお役所の好きなカタカナ言葉を取り上げた際にも書きましたが、どうもお役所言葉というのは日本語の敵ではないかと感じています。そうした感覚も一般的なものだろう、と思わせてくれる結果だったと思います。

森友学園問題での財務省とのやりとりをまとめたという国土交通省の文書。それを取り上げた記事には、財務省側が「内部調査報告書の公表時期を大阪地検の刑事処分と合わせるため、『官邸も早くということで、法務省に何度も巻きを入れている』と現状を説明した」とありました。

米川明彦氏編の「集団語辞典」(東京堂出版、2000年)は「巻き」の項目の②として
《テレビ》番組撮影で主演者に進行を急がせる合図。人さし指を立ててくるくると回す。
と説明しています。「巻きを入れる」という用例は出ていませんが、意味としてはこの説明から目星がつくでしょう。要するに「早くしろ」と促すことです。

お役所は放送業界ではないのだから「急がせている」とか「急ぐよう指示している」と言えばいいだろうに、と思うのですが、こういう内輪向けっぽい言葉を使う方が仕事をしているという気分になるのでしょうか。

Googleのフレーズ検索で「巻きを入れる」を検索すると相当数がヒットするのですが、大半は「おせちに昆布巻きを入れる」のたぐいか、髪に「縦巻きを入れる」のようなもの。紙面に出てきたような例については、先ほどの文書を取り上げた記事以外、見ることができませんでした。今回のアンケートでは「使う」という人も1割弱ありましたが、ごく限られた場面での使用ではないかと推測されます。

お役所の皆さんには、自分たちの言葉遣いが独特であることを喜んでほしくはないものです。


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