人生の最後を飾るお葬式。みなさんはこの記事を読んで違和感をおぼえたでしょうか?


葬儀場を意味する斎場は「葬儀をする場所」(広辞苑第7版)。多くはここで納棺をします。

火葬場は「火葬を行う所」(広辞苑第7版)のこと。読んで字のごとく、です。

この二つの施設は必ずしも同じ場所にあるわけではありません。この記事のケースでは、納棺をする場所と火葬をする場所は異なっていたのです。


たしかに今までに参加した葬儀をよく思い出してみると、葬儀をとりおこなった後にバスで近くの火葬場に移動していました。

一般常識の身についている方なら当然のように気づくことかもしれませんが、葬儀場で火葬を行っているかのように書かれていることに違和感をおぼえず、東京版の紙面では出稿部からの直しが来るまで上のような状態で掲載されてしまいました。直しが来る前にこちらから問い合わせることができたなら、と悔やまれます。

記事のように遺体を取り違えるのはもってのほかですが、人の生き死ににかかわることはより注意深く、しかしフラットな状態の頭で読まなくてはいけないなと反省した一日でした。



過去にはこんな例も。


焼却とは「焼き捨てること」(広辞苑第7版)。焼くだけではなく捨てるという意味まで含まれています。人の遺体は焼かれた後にきちんと埋葬されるものなので、捨てるという意味のついた焼却という言葉は適当ではありません。

葬儀などとなると、当事者として経験するときはたいてい悲しみに暮れていて細かいことを覚えていないものですが、事実と異なる記事が出てしまっては故人にも遺族にも失礼にあたります。

紙面を読まれる方々はもちろん、記事に書かれている方々や書き手の記者のためにも、調べるのが難しいことなどはともかく、常識的に考えて分かることには間違いがないよう感覚を磨いていかなくては、と改めて強く思います。
【江沢雄志】



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