10年ぶりに改訂された広辞苑第7版を手にして、真っ先に引いたのは「敷居が高い」でした。
改訂前の第6版ではこういう語釈になっていました。


それが第7版ではこうなりました。

「また」から「店に入りにくい」までが追加されたのです。

この慣用句について、以前から「本来は不義理したことで行きにくいという意味なので『高級すぎて敷居が高い』というのは誤用」と言われることがあります。

これに疑問を呈する立場から私は以前ブログや拙著「毎日新聞・校閲グループのミスがなくなるすごい文書術」で、誤用とは限らないと主張してきました。

今回の改訂を見て「我が意を得たり」と思いました。もっとも私の主張など、もともとは広辞苑編集者がおっしゃっていたことをなぞったにすぎないのですが。


その他、「こんな語を引いた」「こんな語があった」という例を挙げます。


第6版で「ウルトラマン」が入ったのに続き、日本の代表的特撮ヒーローが第7版で登場。


しかし平成の仮面ライダーは必ずしも「オートバイに乗って戦う」とは限らないようですが……。

ちなみに第7版でも「仮面夫婦」は採用されませんでした。


「LGBT」の語釈が不適切と問題になったので調べるとその次のページにあるこの語が目に飛び込んでしまいました。第7版から加わった語で、衝撃を受けました。



個人的に、接続詞として「……警戒してしまう。なので、わなの上に……」などの使い方が最近とても多くなっているな、と気になっていました。これも第7版で追加された項目です。



この②は第7版で加わった語釈です。第6版では「男などがめめしく色めいた様子をする」だけでした。「男など」の「など」はよく分からなかったのですが、第7版の語釈で「男」と限定。しかし「女=なよなよ」というイメージを強調する表現にしてよかったのだろうか――という問題はさておき、「にやにやする」という意味が俗語として加わったことにご注目ください。


そして冒頭に挙げた「敷居が高い」に戻りますと、「俗に」などの注釈や、①②の分け方もなく無条件に「また、高級だったり格が高かったり思えて、その家・店に入りにくい」という文言を加えたということは、この使い方を俗用としてではなく、正式な表現として認めたと考えられるのではないでしょうか。

今後どういう議論になるか分かりませんが、「高級すぎて敷居が高い=誤用」説の転機になるかもしれません。
【岩佐義樹】



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