「節目」がテーマの〈読めますか?〉の結果は「僥倖」(正解率96%)など。〈テーマ解説〉は今回で最終回です。〈読めますか?〉は随時再掲載しますので、参考にしていただければ僥倖です。今後も当サイトやツイッターをよろしくお願いします。
〈読めますか?〉結果

漢字クイズの回答率とともにお送りしてきたこの〈テーマ解説〉も最終回となりました。最後のテーマは「節目」。



正解
終天神しまいてんじん 68%
しゅうてんじん 16%
おわりてんじん 16%
12月25日に出題した「終天神」は、クリスマス関連の漢字だともう出し尽くした(馴鹿御子など)気がしたので、その日の他のイベントを探したところ見つけました。「終」の言葉が入っているし、天神といえば学問の神さま。学問というほどのものではありませんが、漢字の問題の最終週を飾るにふさわしいと思いました。


正解
濁すにごす 95%
にごらす 3%
だくす 1%
「濁す」はことわざ「立つ鳥跡を濁さず」と2017年がとり年であることに引っかけた問題ですが、気づいていただけたでしょうか。出題時の解説では「口を濁す」か「言葉を濁す」かという問題の方に字数を費やし、とり年うんぬんには言及できませんでした。 ツイッターでも紹介した「国語に関する世論調査」の結果はこうです。

「はっきりと言わないあいまいな言い方」を意味する表現は? ☆口を濁す→17.5% ★言葉を濁す→74.3%(2016年度文化庁世論調査。★が「本来」)

やや意外に感じました。本来とされる言葉への理解が多いのは喜ばしいことではあるのですが、「口を濁す」も「言葉を濁す」と同様に記す辞書がけっこうあるのです。 まもなく第7版が出る「広辞苑」もそう。「口を濁す」は既に1991年の第4版から載せています。「日本国語大辞典」第2版は1956年の平野謙の用例などを挙げています。

日本新聞協会新聞用語懇談会編「新聞用語集」はマスコミの用語担当者による会議で合意の得た新聞などの表記を集めた本ですが、1996年版の「誤りやすい慣用語句」に「口を濁す」は「『言葉を濁す』が慣用」とあったのが、2007年の改訂でなくなりました。毎日新聞社の「毎日新聞用語集」でも、ほぼ同じころの改訂で「口を濁す」→「言葉を濁す」とあったのを削除しました。 いずれも、主要な辞書が認めていることから「口を濁す」は必ずしも誤用とはいえないという判断でした。

ところが、本来の言い方とされる「言葉を濁す」の方が圧倒的に支持されているという今回の世論調査をみると、この判断が妥当だったのかと考えさせられます。「口を濁す」を辞書が載せたのはそれなりに用例があったからでしょうが、もしかしたら一時の流行にすぎなかったのかもしれません。


正解
僥倖ぎょうこう 96%
きょうごう 2%
さいこう 2%
最後のあいさつを兼ねて選んだ語が「僥倖」。昨年の話題の人、将棋の藤井聡太四段が対局後のインタビューに答えた言葉として出てきました。将棋の天才中学生は語彙(ごい)力もすごいと話題になりました。

ただ、この漢字クイズの最後に取り上げたところ、高い正解率となりました。藤井四段が使ったことだけでこれだけ有名になったとも思えないので、それ以前から知っている人は多かったのでしょう。ツイッターでは漫画の「賭博黙示録カイジ」(福本伸行)で覚えたという声もありました。

なお藤井四段は50勝を達成したとき「ふしめの数字」ではなく「せつもくの数字」と言っていました。「節目」は「せつもく」とも読むのかと思わず辞書を引いた人も多かったでしょう。確かに大きめの辞書には載っています。しかし例えば「大辞林」では、植物の節以外の意味として
小分けにした一つ一つの箇条。細目
となっていて、ちょっと「ふしめ」と意味が違うような気がします。広辞苑では「物事の区切り」の意味も付記されているので50勝達成についていうことも間違いとはいえませんが、なんだかもやもやします。藤井さんの中学生離れした語彙力はわかったけれど、なにも公共の場で大人にも解説が必要になるような言葉遣いをしなくても……。
と思っていたら池上彰さんは「文春オンライン」で「50勝目は人生の大きな区切りではなく、まだまだ続く途中経過にすぎません」というニュアンスで「せつもく」と答えた可能性を指摘していました。だとしたらやはり恐るべき中学生ですね。

ということで「節目」のテーマのまとめ、以上です。これは「ふしめ」のつもりで付けています。念のため。

ご愛読ありがとうございました。今後とも当サイトやツイッターをよろしくお願いいたします。



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