米大リーグはストーブリーグの真っただ中。フリーエージェント(FA)となったダルビッシュ有選手らの来季の所属先に注目が集まっています。


校閲記者としてはイチロー選手も、最初の所属球団「マリナーズ」やプロ野球の千葉ロッテ「マリーンズ」とたまに打ち間違えられる「マーリンズ」からFAとなり、その去就が特に気になるところです。



大リーグの球団といえば最近、一部の校閲部員を悩ませた問題がありました。「松井秀喜さんが大リーグで最後に所属した球団はどこか?」という問題です。

松井さんは2012年、レイズを最後に現役を引退しました。しかし13年7月、かつて所属し活躍したヤンキースと1日限りのマイナー契約を結び、ヤンキースタジアムで引退セレモニーを行っています。この契約によって、松井さんの最終所属球団はヤンキースになったのではないか?ということです。


確かに選手としての実態があったとは言えません。しかし契約は契約ですし、何よりこの1日契約には「ヤンキースの一員として現役を引退する」という象徴的な意味合いがあったはずです。大リーグでは松井さんの他にも、1日契約によって昔所属した球団で「引退」した例があるようです。


こんなことがなぜ問題になったかといえば、選手の最終所属球団が曖昧だと、いずれ新聞として困る可能性があるからです。今年9月にプロ野球・阪神の鳥谷敬選手が2000安打を達成した際、歴代の2000安打達成者をずらりと並べた表が掲載されました。その注釈には「球団は最終所属」と書かれています。


記録の表などでたくさんの元選手を統一的に表記する際、新聞ではよく、名前の隣に示す球団を最終所属で統一します。機械的で客観的なルールにしているわけですが、松井さんの最終所属球団が判然としないと、いざ表に載るとなった時に困ってしまう、というわけです。

さて、校閲部員で話し合ってみましたが、これがなかなかまとまりません。ルールを教わったつもりの部員たちですら、なぜか「レイズと聞いた」人と「ヤンキースと聞いた」人に分かれて、らちが明きません。今まで本当に大丈夫だったろうか、厳密な運用ができていたか……と徐々に不安を募らせながら、結局は運動部に公式見解を確認することに。


運動部の回答は「松井さんに関してはヤンキース時代の印象が強く、単独で記事に登場する際は『ヤンキースなどで活躍した松井秀喜さん』などと表現することが多い。だが、表の中などで示す最終所属球団となると、やはりレイズにならざるを得ない」。当たり前か、そうでもないか。ともかく、こうしてようやく結論が出たのでした。

今や大リーグで活躍する日本選手のニュースは日常的に聞かれるようになり、うれしい限りです。移籍市場から続く来季の戦いも、陰ながら応援しています。
【植松厚太郎】


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