報道の中で慣例となっているような、よく見かける言葉遣いの中にも、改めて意味を考えると違和感があるものがあります。

「電話会談」


「会談」は、ほとんどの辞書が「(責任のある人が公に)面会して話し合うこと」(広辞苑。以下すべて辞書は現時点での最新版)のように、文字通り「会う」ことを含めています。

大辞泉(上)、三省堂国語辞典(右下)、明鏡(左下)=いずれもアプリ版

「電話会談」は、わりと一般的には使われる表現なのですが、面会するわけではないので、毎日新聞では原則として「電話協議」などと直すことにしています。


「会見」


「会見」は「一定の場所で対面すること。現在では、公式な場合に用いることが多い」(広辞苑)。

明鏡(左)と三省堂国語辞典

多くの辞書が別の項目を立てて説明している「記者会見」の略として使われることが少なくありませんが、意味を考えれば「会見」だけでは言葉足らずであることは否めません。

明鏡(左)と三省堂国語辞典

少なくとも記事の中での最初に出てくるところでは、略さず「記者会見」と書くようにしています。


「表敬する」


「表敬」は、ほとんどの辞書が一様に「敬意を表すこと」と説明し、「ー訪問」という用例を添えています。

大辞泉

「首相官邸を表敬する」などと場所に続けて使われる場合、やはり「表敬」だけでは言葉としては不十分で、「表敬訪問」ときちんと書くべきでしょう。

一方で、記述にやや特色のある辞書もあります。

三省堂国語辞典(左)と「表敬訪問」を詳しく説明している新明解国語事典

三省堂国語辞典は「表敬」にカッコ書きで「訪問」の意味を含めているようにも読めますが、「ー訪問」の用例も付けています。「表敬」が多くの場合「訪問」とセットで使われ、実際に「訪問」が略される場合があることを反映しているのかもしれません。


新聞などの報道の文章は、簡潔な表現をこころがけているため、重言に厳しいほか、なくても通じる修飾語や接続詞はなるべく省略する傾向があります。

しかし、その言葉を初めて目にする人にも分かりやすいよう、略しすぎず正確に表記することも同時に大切にしています。



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