「ゆでる」か「煮る」か

調理手順の説明。鍋でカボチャに「調味して鶏肉を加え、汁気がなくなるまでゆでる」。


しかし小学館日本語新辞典によれば、ゆでるとは「熱湯に入れて熱を通す」ことであり、「食べられるように味をつけて料理をつくるまでをいう」なら「煮る」のほうが適当だろう。

小学館日本語新辞典

この辞書には「焼く・煮る・炊く・炒める・煎る・あぶるの異同」という解説欄があるように、加熱調理を表す言葉は多彩だ。

小学館日本語新辞典

日本語の豊かさも味わいつつ適切に使い分けたい。



「さげすむ」の語源は

「最初はさげずんでいるが、やがて立場が逆転し……」と映画の解説文。「さげすんで」と直した。


元々、大工が墨縄を垂直に下げて柱の曲がりを測った「下げ墨」から、人物への評価、特にマイナスの評価をする意味の語として成立したとされる(日本国語大辞典)。

日本国語大辞典

この「下げ墨(む)」は「さげずむ」「さげずみ」など濁音も併記する辞書が手元に複数あるが、見下す意の語のほうは濁っていない。

新潮国語辞典

日本国語大辞典

2010年に改定常用漢字表に入った「蔑」の訓読みも「さげす(む)」だけ。なお、常用漢字になったものの、訓読みは難しいので毎日新聞では仮名書きにしている。

琵琶は「つまびく」?

鎌倉時代、「方丈記」を執筆した頃の鴨長明の生活を「一人で経を唱え、琵琶をつまびいた」と表現。


つまびくは指先で弦をはじく奏法だが、日本大百科全書などによれば、現代の中国につまびくタイプもあるものの、日本に伝わった琵琶は普通ばちで演奏する。
ともに日本大百科全書

長明が特殊な奏法をしたのかどうか定かでないため、「かなでた」と直すことになった。



「五万」だからたくさん?

「そんな夫婦は五万といるではないか」。


もちろん5万組の夫婦という意味はなく、たくさんいるということ。

「巨万(こまん)の転か」(岩波国語辞典)、「数量が多いさまを表す近世語『まんと』からか」(日本国語大辞典)と諸説あるが、「五万」は当て字だ。漢字にしない方が伝わりやすいだろう。
日本国語大辞典(左)と岩波国語辞典
【宮城理志】


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