「手・足・口」がテーマの〈読めますか?〉の結果は「手練の早業」(正解率25%)など。今回は漢字の多様な読みのおかげで選択肢に悩まされました。例えば「てだれのはやわざ」は間違いという確信が持てず「早業」の方でひっかけにしました。
〈読めますか?〉結果

この週のテーマは「手・足・口」という奇妙なものでした。この夏はやった「手足口病」とは関係ありません。体育の日にちなんで体の一部を使う言葉を考えていたら、たまたまこの並びになっただけです。


正解
手練の早業しゅれんのはやわざ 25%
てだれのそうぎょう 39%
てれんのはやわざ 36%
「手練の早業」は4人に1人しか正解できないという結果が出ました。もし「てだれのはやわざ」という選択肢を誤りとして設定すると、「しゅれんのはやわざ」の正解率はもっと低くなったのではないでしょうか。しかし「てだれのはやわざ」という読みが間違いという確信がなく「早業」の方でひっかけ問題にしたのです。

出題後、漫画「美味しんぼ」で「手練の早業」に「てだれのはやわざ」とルビがあったという報告をツイッターでいただきました。これを「間違い」と、はたしていえるかというと、「てだれ」と「しゅれん」は意味が似ていますから、いいにくいように思います。ただ、音読み「シュレン」の方がなんとなくかっこいい気がしませんか? 何かの漫画にそういう名前があったような気がして検索したら「北斗の拳」に出てきていました。


正解
足蹴にするあしげにする 97%
あしけにする 2%
そくしゅうにする 1%
「足蹴」は逆にほとんどの人が読めています。これも「あしげり」という選択肢を入れるべきか迷った末、送り仮名の原則を度外視すれば間違いとはいえないかもしれないと思ってやめました。「毎日新聞用語集」の「誤りやすい表現・慣用語句」では「足蹴りする→足蹴(あしげ)にする」となっていますが、これを読みとしての正解に適用していいのか、今ひとつ確信が持てなかったのです。

足蹴といえば思いつくのが「金色夜叉」の中で有名な貫一お宮の別れのシーン。写真に出した銅像は、熱海に旅行した人でなくてもテレビなどで一度は目にしたことがあると思います。この銅像の前に昨年、「決して暴力を肯定したり助長するものではありません」などと書かれたプレートが設置されたことが、ちょっとした論議になりました。朝日新聞「天声人語」(昨年12月1日)によると「ドメスティックバイオレンスを是認していると外国人に誤解される」との指摘があったそうです。

その対応の是非はさておき、この天声人語に「足蹴」がルビ無しで使われていて、朝日新聞ではそうしていることに初めて気づきました。毎日新聞や共同通信ではルビ付きと決めています。「蹴」は2010年に追加された常用漢字で、「蹴る」に関しては各社ともルビ無しで使っていると思われますが、「足蹴」は各社の対応に差が出ているようです。


正解
歯牙の間しがのかん 92%
しがのま 4%
はきばのあいだ 4%
「歯牙の間」も大方の人が読めました。「牙」も10年に追加された常用漢字です。原稿段階では「歯牙」の誤りの選択肢に「しげ」があったのですが、「しげ」という読みもあるとの同僚の指摘で外しました。

ということで、今回は漢字の多様な読みのおかげで選択肢選定に悩まされた3本でした。ちなみに常用漢字改定の内閣告示が出たときの首相は菅直人さん。その後の政治の変転を思うにつけ、7年という時以上に隔世の感があります。その流れが今回の選挙でどう変化するか、あるいは変化しないか。今日は投票日です。

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