「稲」がテーマの〈読めますか?〉の結果は「稲魂」(正解率67%)など。天候に左右される稲の収穫。農家は豊作を祈り、「地」にあるイネの魂を覚醒させ実りをもたらすのは「天」からの霊的パワーだと感じたようです。
〈読めますか?〉結果

この週は「稲」。関東では8月に雨続きだったため、稲の生育を心配しつつ出題しました。今のところ農水省の見立てでは、稲の生育に最も影響する7月は天候に恵まれたため、8月の日照不足の影響は一部にとどまっているとのことで、とりあえず一安心です。



正解
稲魂いなだま 67%
とうこん 20%
いなづま 13%
農家ではない人にとって、宮沢賢治が
サムサノナツハオロオロアルキ
「雨ニモマケズ」で記した心情は心底から共有できるものではないかもしれません。しかし、大凶作で外国産米の大量輸入を余儀なくされた1993年の記憶がいまだ生々しい人にとっては、日本の米がいかに日本の風土に合ったすばらしい主食であるかが分かっていると思います。

そのおいしい米を、今でこそ当たり前のように毎日食べることができるけれど、少し前まで、天候次第でかなわなくなる現実があったということに思いをいたせば、イネそのものに霊力を見いだす「稲魂」という言葉が生まれる心情も少しだけ理解できる気がします。

「稲魂」は広辞苑などでは「いなずま」「いなびかり」としか出ていませんが、元は「稲に宿る神霊」(白川静「常用字解」)の意味でした。そして「いなずま」の語源は、稲が花や実をつける時期と雷が多い時期が重なることから、「稲+夫(昔は夫のことも「つま」といった)」→「稲+妻」→「いなずま」と結び付けたとされます。ただそれだけでは、イネと雷が結婚したから「いなずま」? 面白いけど何と非科学的な――と現代人は思うでしょう。

しかし、人間には手の届かない「天」と地を目に見える形で結ぶのが雷の光です。その破壊力は現代人も身にしみています。「地」にあるイネの魂を覚醒させ実りをもたらすのは「天」からの霊的パワーだと感じたのは、いつ凶作に陥るか分からない農家の切実な祈りだったに違いありません。

正解
出穂しゅっすい 50%
いずほ 44%
しゅっぽ 6%
さて「出穂」は常用漢字表の範囲内ですが、穂の音読みスイは難読です。日本新聞協会の「新聞用語集」では
「穂が出る」などと言い換えるのが望ましい
となっています。「でほ」という読みが一部の国語辞典に載っていますが、それは採用していません。


正解
穂肥ほごえ 30%
すいひ 51%
ほひ 20%
「穂肥」はさらに難読で、見たことがない熟語と思った方も多かったでしょう。しかし新聞では、主に米どころの地域面ですが意外によく出てきます。「肥=こえ」の読みも常用漢字表内の訓ですが、「肥える」という動詞はともかく名詞の用法は都会ではあまり縁がなくなっているかもしれません。昔は「肥だめ」というものが身近にありましたが……。

ところで、餅をつくる米は「餅米」の漢字でよいでしょうか? 餅米でも誤字とまではいえませんが、毎日新聞では今「もち米」と書くようにしています。

そのへんの事情をもっと詳しく知りたい方はぜひ、出たばかりの「校閲記者の目」(毎日新聞出版)をご覧ください。その他にも、目からウロコの知識が満載です。

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