「真夏の花」がテーマの〈読めますか?〉の結果は「夾竹桃」(正解率84%)など。夾竹桃は、原爆によって70年以上草も生えないといわれた広島でいち早く花をつけ、1973年に広島市の花に制定されました。
〈読めますか?〉結果

この週は「真夏の花」でした。


正解
百日紅さるすべり 91%
べにばな 6%
のうぜん 3%
今回最も正解率が高かったのは「百日紅」。予想はしていましたが、やはりよく知られています。出題時にも紹介したように、故・杉浦日向子さんが代表作の漫画のタイトルにしています。ちくま文庫の夢枕獏さんによる解説では、杉浦さんは
わさわさと散り、もりもりと咲く、というお祭りが、秋までの百日間続きます。長い、長いお祭りです。
百日紅のしたたかさに、江戸の浮世絵師がだぶり、表題はこんなふうに決まりました。
と、北斎を描いたこの漫画のタイトルの由来を記しているそうです。

その北斎について夢枕さんは
描けば書くほど、いよいよ描きたいものが増えてゆく。
量産につぐ量産をしながら、そのレベル、落ちず、いよいよ新しくなってゆく。
という仕事ぶりに照らし「これほどハマるタイトルはない」と評しています。

さてこのタイトルは江戸時代の俳人、加賀千代女の句
散れば咲き散れば咲きして百日紅
から取ったそうですが、千代女の有名な句に
朝顔に釣瓶取られてもらひ水
があります。アサガオは朝咲いて夕方にしぼむことから短命の象徴とされることがあるのですが、杉浦さんも美人薄命でしたね。


正解
木槿むくげ 77%
もっこく 12%
またたび 11%
そしてムクゲも、かつてアサガオと呼ばれたとのこと。古井由吉さんの小説「槿」も「あさがお」と読みます。ムクゲも朝咲き夕方しぼむことから、はかなさをいう「槿花(きんか)一朝の夢」という慣用句まであるのですが、あふれんばかりの華やかさから「はかなさなど少しも感じられない」とする見方もあります(創元社「俳句の花」)。

正解
夾竹桃きょうちくとう 84%
くるみ 10%
からたけもも 7%
by qooh
キョウチクトウも生命力が「もりもり」と感じられます。いや「ぎらぎら」かな。原爆によって70年以上草も生えないといわれた広島で、いち早く花をつけ広島市の花になったのも、その生命力の旺盛さゆえでしょう。
原爆がらみでは、複数の方から「夾竹桃のうた」に言及したツイートをいただきました
夏に咲く花 夾竹桃 戦争終えた その日から…
不明にして、そんなに有名な歌だとは知りませんでした。

ただし被爆者にとっては、必ずしもキョウチクトウの花に勇気づけられる人ばかりではありません。毎日新聞に載った長崎の被爆者の話では
夏にキョウチクトウの花を見るとあの地獄絵図が頭に浮かんできます。あの花は原爆が落ちた後もすごくきれいに咲いていました。
と、被爆当時の筆舌に尽くしがたい体験を思い起こすそうです。もちろん受け取り方は人それぞれで、花に罪があるはずもありません。しかし、花の色によってそう感じる人がいるということは忘れてはなりません。

そして、70年以上草も生えないといわれた地に72年後の今は草木が満ちていても、いまだに心身ともに傷は癒えない人々がいるということに心を寄せなければならないと思います。


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