「転機」がテーマの〈読めますか?〉の結果は「啐啄」(正解率64%)、「関頭」(39%)、「転封」(47%)、「還俗」(65%)など。言葉は時に、死語と思われていたものがよみがえってくることも。まるでゾンビのようですね。
〈読めますか?〉結果




この週は年度替わりに合わせ「転機」をテーマにしましたが、歴史的というか、現代語としてはまず使われなくなった語が並んでいます。

しかし言葉というのは時に、死語だったものがゾンビのように復活することがあります。


正解
一旦緩急いったんかんきゅう 83%
ひとたびかんきゅう 11%
いったんだんきゅう 6%
「一旦緩急」というのもその一つではないでしょうか。「一旦」は「一旦停止」など、「緩急」は「緩急を利かせた投球」などで今もよく使われますが、「一旦緩急」と結びついた言い方は今ほとんど使われない――と思いきや、まさか幼稚園児に暗唱させていたとは! 

「教育勅語」で最も問題とされるのはこの一節です。

「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」


「一旦」は「一旦停止」などの「一時」ではなく「もし」という意味です。「緩急」は野球などで使われる「遅いことと速いこと」ではなく「差し迫った事態」。このように、一つ一つの言葉の意味も現代とは違います。

ちなみに、「緩急」の「緩」には意味がないそうです。

「新明解国語辞典」によると「帯説」という漢字の用法といい、他の例の一つに「難易」の「易」が挙げられています。そういえば「難易度が高い」は「難度が高い」で十分なのに「易」を付けるのは変という意見をいただいたことがありますが、この「一旦緩急」と同じ使い方だというように説明できますね。

このように教育勅語は漢字教育の面では役に立つ部分がないことはありません。

ただ漢字を習う以前の子供に時間をかけて唱和させる目的は、漢字の勉強とは到底思えず、やはり「一旦緩急」の際はお国のため、天皇のために滅私奉公しなさいという精神を植え付ける意図があると思われます。三つ子の魂百まで。


正解
啐啄そったく 64%
そんたく 26%
しゅっとん 10%
教育といえば「啐啄」。「啐」の字はひなが出ようとして卵の中で音を出すことを表します。卵をつついて親鳥が助けるのが「啄」。つまりひなが自分で立とうとするのを助けるのが教育であり、なにも分からないうちから思想を刷り込むのは本当の教育ではないと思います。


正解
関頭かんとう 39%
せきがしら 37%
せきとう 23%
「関頭」は今回正解率が最低でしたが、「なぜこの字で瀬戸際という意味になるんだろう」という疑問のツイートがありました。こういう疑問を持つこと、持たせることが自分で調べることにつながり、教育で重要なこと……って、偉そうにまとめられればよかったのですが、実はこの疑問への答えは見いだせていません。

「関」というのは関所のことで、「関を越えられるかどうかの分かれ目」がこの語の成り立ちと推測はできますが、確証がありません。出題者も学び中ということです。


正解
転封てんぽう 47%
てんぷう 41%
てんぷ 11%
「転封」の「封」、「移封」もそうですが、「ほう」か「ふう」か、いつも分からなくなります。「漢字ときあかし辞典」(円満字二郎著、研究社)によると「封」は

本来は“手で土を集めて盛り土をする”ことだと考える説が優勢。盛り土をしてふさぐことから、“閉じこめる”という意味となった。

また、堤防を築いて土地を区分するところから、“領地”をも表す。

二種類の音読みは、意味に応じて使い分けるのが習慣。“閉じ込める”場合にはフウを、“領地”の場合にはホウと読む。

とのことです。なるほど、「封建」のホウと覚えておけば迷うことはありません。


正解
還俗げんぞく 65%
かんぞく 32%
かんげん 3%
さてNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」も転機を迎え、3月末のサブタイトル「おんな城主直虎」の回で主人公が城主(といっても城らしきものがないので事実上の領主)となりました。

当初、尼だった主人公が「還俗」して領主になるのかと思っていましたが、その後の回を見ると還俗はせず尼僧姿をやめただけと分かりました。出題時の解説で「還俗した」と書かなくてよかったと胸をなでおろしました。

さっそく直虎は領地の問題で難題を抱えたようですが、どう切り抜けていくかが本日の見どころです。


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