「風雨」がテーマの〈読めますか?〉の正解率は全体的に低めで「秋出水」(31%)、「櫛風沐雨」(34%)、「颶風」(47%)、「飛雨」(52%)、「颱風」(66%)でした…
〈読めますか?〉結果
この週は「風雨」でした。まずは台風被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。

正解
颱風たいふう 66%
つむじかぜ 30%
だいふう 5%
その台風のかつての表記「颱風」がこの週で最も正解率が高かったのですが、それでも3人に1人が間違えたという結果でした。「かつての表記」と書きましたが、いわゆる旧字体ではありません。「台風」は当用漢字でない「颱」を同音の字によって書きかえた表記です。つまり、颱と台は別の字で、颶も別の字です。


正解
颶風ぐふう 47%
たいふう 40%
しっぷう 14%
今回質問をいただいたこともあり語源について整理しましょう。「颶風」は中国で昔、台風のように風向の旋回する風を呼び、1857年に洋学者、伊藤慎蔵が熱帯低気圧についての訳書「颶風新話」で科学的に日本に紹介しました。それより以前、颶風はアラビア人にぐるぐる回るという意味のtufanとして訳され、それが中国に「颱風」として返ってきたといいます。17世紀の中国の書物が最古の例だそうです。他方で、アラビア人を介して欧州では既に16世紀にtyphoon(タイフーン)という言葉が生まれたようです。つまり、一般的に英語のタイフーンから中国の颱風という言葉ができたといわれることが多いのですが、実はもう少し複雑で、颶風がこの言葉の意味のごとく世界的に旋回して、タイフーンと颱風に分かれたというわけです。以上、小学館「日本大百科全書」より。


正解
飛雨ひう 52%
しぶき 41%
とびあめ 8%
「飛雨」はぐるぐるの字が印象的な書「帰雲飛雨」が台風を思わせたことから出題しました。明治の元勲、副島種臣の書――といっても知らない人が多いかもしれません。出題者も石川九楊著「書と文字は面白い」(新潮文庫)で知りました。どんな書か、興味を持たれた方はネットでも画像が見られますので検索してください。それにしても、政治家にしてこれだけの独創的な書を残す人がいたということだけでも、明治の人材の豊富さ・多様さを思わせます。副島は西郷隆盛の友人だったそうなので、2018年のNHK大河ドラマに決まった「西郷(せご)どん」に出てくるかもしれません。 


正解
櫛風沐雨しっぷうもくう 34%
せっぷうもくう 60%
くしかぜぼくう 6%
「櫛風沐雨」の櫛は「くし」の訓は簡単でも音読みが難しいですね。この言葉の出典は、出題時に示した「荘子」のほか「晋書」とするものもあります。どちらが正しいかというより、中国古典が、いや中国に限らず日本の古典もそうですが、いろいろな言い伝えのミックスでできているからでしょう。


正解
秋出水あきでみず 31%
あきいずみ 55%
しゅうしゅっすい 13%
さて、全体的に正解率が低めだったこの週の中でも「秋出水」が最も読みにくいという結果になりました。漢字は簡単でもクイズなのでひねった回答に集まってしまう典型例ですが、季語として一般に知られていないことが根本の原因でしょう。めまぐるしくニュースが動く昨今は、例えばたった2年前の大水害さえ忘れてしまう傾向もあると思いますが、この高浜虚子の句と季語を銘記することで防災の心構えとするのはいかがでしょう。
をとどしのけふの事なり秋出水

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