しばしば見かける、本来とは違う意味合いで使われている言葉や、辞書ではあまり見つからない表現について、「直す」か「直さない」かをマスコミ各社の用語担当者に聞いたアンケートからまとめました。(調査について詳しくはこちらの①をご覧ください
2015年春のアンケートから。回答したのは20社(全国紙・通信社7、スポーツ紙3、テレビ局4、地方紙6)の用語担当者。どちらとも言えないとした場合は0.5ずつカウントした。話し言葉や寄稿文、引用などの場合は除く。

受け止めは

例文
米国とキューバは国交正常化交渉の開始で合意したが、キューバ国内での受け止めは?
直す=13.5社
直さない=6.5社
言葉足らずであり「受け止め方」「反応」などに直すという意見が多数だった。特に調査対象の民放テレビ局は4社とも「直す」と回答。「『受け止め』は『NHK用語』だと思います」「『受け止め』だけでは活字、アナウンスともに不十分な感じはいなめない」などのコメントがあった。

「本来『受け止め方』だろうが、定着している」「『差し止める』『差し止め』などと同じかと思うと、一概に駄目とは言えない」「違和感はあるが、最近の言い回し」などと許容する意見もあったが、全体では「直さない」は「直す」の半分程度にとどまった。「確認すると近年多数の使用例があり驚いた」「ごく最近に使われだしており、流行語的なものかとも思う」といった声もあった。


きめ細やかな

例文
今後は、事件で心に傷を負った子供たちへのきめ細やかなケアが必要となる。
直す=12.5社
直さない=7.5社
「きめ細やか」は、「きめ細か」と「こまやか」の混同であるため、この場合は「きめ細かな」「こまやかな」などに直す、という回答が多くを占めた。

一方で、「『細(濃)やか』と『細かい』の区別がはっきり分かる人は少ないかもしれない」「直すべきだと思っても、現実は直らず出てしまうかも」などという声や「意味は破綻していない」「細部にわたるケアという意味であればおかしくない」として許容する意見もあった。


しのぎ合って

例文
若者の自動車離れが言われる中、各社は技術やデザインで激しくしのぎ合っている。
直す=18社
直さない=2社
「しのぎを削っている」などに直すという意見でほぼ一致した。「お互いにしのぐ(耐える)というのは意味をなしていない」「『他の上に出る』『優位に立つ』の『凌(しの)ぐ』からイメージするためか」「『しのぎ』は、刀の鎬で、お互いの刀の鎬を削り合うほど激しく打ち合うこと。動詞の『凌ぐ』とは別物」などのコメントがあった。

同時に「『鎬』『凌ぎ』の違いもほとんど理解されていないと思う」「使用例は、ボクシングなどスポーツ中心にいくつか見つかったが、いずれも『がまん比べ』の意味」「“しのぎ合っている”と聞くと、露天商同士が商売で争っているように聞こえる」という指摘も。


口を突いた

例文
「判断が遅れてしまった」「各部局の連携が不十分だった」など、反省の言葉ばかりが口を突いた。
直す=16.5社
直さない=3.5社
言葉足らずなので、慣用句の「口を突(つ)いて出た」や「口に出た」に直すという意見が、多数を占めた。

ただ「慣用句と違うと言えないほど頻出している」「ついた結果出るのは当然だと思えなくもない」「省略と考えて許容できる」との声も一部にあったほか、「つく」の漢字が本来は「衝く」である(常用漢字ではないため新聞では「突く」を使うのが原則)ことなどから、平仮名にしたいという指摘もみられた。

(随時掲載します)
〈直す? 直さない? マスコミの用語担当者が気になる表現〉 他の記事はこちら
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