難読が多かった前週の漢字クイズで正解率最低は「螻蛄」(21%)。「井蛙」(39%)のことわざ「井の中のかわず大海を知らず」には「されど空の深きを知る」と続くことがありますが、後者は出典が不明のようです。
〈読めますか?〉結果

この週は「水と動物」でした。出題をためらうほどの難問ぞろいでしたが、それにしてはよく読めているものが多いのではないでしょうか。

正解
すっぽん 62%
たがめ 25%
へっつい 13%
「鼈」は「国際自然保護連合(IUCN)は、絶滅の恐れのある生き物を載せたレッドリストを改訂し、スッポンを新たに絶滅危惧種に指定した」というニュースがきっかけの出題です。部首が「黽」。円満字二郎著「部首ときあかし辞典」によると、「黽」は「大きなカエル」を表すそうですが、古代文字ではカエルというよりは「ゲンゴロウ」のようだといいます。そういえばゲンゴロウやタガメも絶滅が危惧されています。

正解
水馬あめんぼ 64%
かば 31%
まいまい 4%
今回「水馬」で出題しましたが、アメンボは「水黽」とも書きます。そしてアメンボは場所によってミズスマシといわれてきました。ということは、水黽と書く動物はアメンボではなく、今でいうミズスマシを指すのではないでしょうか。ゲンゴロウとミズスマシはちょっと形が似ていますが、蚊みたいなアメンボとはまるで月とすっぽんのように違います。


正解
孑孒ぼうふら 76%
ががんぼ 13%
しみ 10%
蚊の幼虫である「孑孒」は難読ですが、読めたという人のツイートによると「生徒諸君!」という漫画に出てきたそうです。未確認ですが。


正解
井蛙せいあ 39%
いけず 32%
せいけい 29%
「井蛙」は「井中の蛙(せいちゅうのあ)」ともいいます。音読みがかなり難しいのですが、「井の中のかわず」ということわざを普通使いますので、音読みする場面はほとんどないでしょう。ただ、そのことわざの元が荘子の漢文とされるので、知っていても損はないと出題しました。なお「井の中のかわず大海を知らず」に「されど空の深きを知る」と言い回しが続くことがありますが、荘子では「夏の虫に氷のことを話しても分からない」という意味の言葉が続きます。「空の深きを知る」は出典が不明のようです。


正解
螻蛄けら 21%
やご 54%
しゃこ 26%
「螻蛄」は今回最も正解率が低くなりました。時田昌瑞著「岩波ことわざ辞典」の「螻蛄の水渡り」(途中でやめること)の項を引用しましょう。
地中には適した前肢も水の上では勝手がちがい、最初はさかんに動かすものの長続きせず中途でやめてしまう。現代ではほとんどお目にかかることがなくなってしまったが、かつては田舎で子供たちが水に浮かべて競争させて遊んだものだった。実際に螻蛄が水渡りをすることはないので、子供たちの螻蛄遊びから起こったことわざではなかろうか。
確かに、現代ではケラを泳がせるどころか、ケラを見た子供自体あまりいなくなっているでしょうね。スマホの中のポケモンを捕まえることはあっても……。それとともに、このことわざも実際には使われないことわざと化しているかもしれません。時田さんは「辞書から消えたことわざ」(角川SSC新書)でも言及しています。
筆者が子供のころは、親から買い与えられる玩具は少なく、多くは自分たちで作ったり、自然界の昆虫などが遊び相手だった。オケラもそうした虫の一つであった。
電脳空間で遊ぶ現代の子供と、ゲンゴロウやタガメ、ケラと遊んだ昔の子供と、どちらが豊かなんでしょう。

最近の「読めますか?」


校閲グループのお薦め本
「毎日ことば」のアカウント 
「毎日ことば」トップページへ
最近の記事
 
Top