この4月の初旬は新入社員の姿が街のそこここに目立ちます。幸いにも憧れの職業に就く方もあれば、憧れ以外の仕事に就かれるという方はヤマほどいると思います。私も子供の頃からの憧れどころか、「校閲」という言葉ぐらいしか知りませんでしたから、今の職業「校閲記者」に就くなんて考えもしませんでした。


就職が決まるというと、周りの方からは「お祝い」の言葉をいただきました。ありがたいことですが、その後に必ず「どんな仕事?」といった質問がついてきます。例えば「プロ野球選手」ならば、聞いた方には、ある程度以上の予備知識もあるでしょうから理解してもらえると思います。ところが、いくら懇切丁寧に「ありのまま」を説明しても、世の中に誤解や混乱を与えかねない仕事もあります。私たち「校閲記者」も、そのうちの一つです。

就職したばかりの頃、正直言って私は「おめでとう」から先の質問は勘弁していただきたかった。なにしろ本人も「就職した」とは言えますが、「校閲」という言葉を初めて耳にされる方に「こんな仕事!」などと説明できるはずがありません。仮にできたとしても、あくまでも頭の中で想像していた範囲のこと。30年以上続けてきた今になっても、最初に「実態」がわかっていたら、内定のうちに返上していたかも……と思うことはありますけれど。

今なら、大多数の大人の方にも「どんな仕事?」をよく分かっていただいて、小学生の皆さんが「憧れの仕事」に挙げてくれるように?説明できるでしょうか。うまい説明ではないかもしれませんが、「どんな仕事?」をテレビゲーム(かなり古くてごめんなさい!)に例えてみます。かつて大流行したインベーダーゲームみたいなものなのだと思います。


「宇宙からの侵略者」インベーダーが「上空」から地球上(新聞紙面)に向けて攻撃してきます。紙面に大きな被害を与えるような多種、強力な「間違いの種」をバラバラと落としますから、われわれ校閲記者は落ちてくる前に迎撃します。「武器」となるエネルギーは、これまでに個人それぞれが身に着けた知識や経験、直観であったり膨大な記録の活用であったり……個人の能力だけでは、かないそうもない時には結束してエネルギーを強化して被害皆無を期す――「間違いの種」を拾いまくって「訂正・おわびの花」を決して紙面で花開くことがないようにするのが使命なのであります。校閲記者という仕事の難しいところは「外敵」にそなえるだけではなく、自分の失敗が原因となったりするようなことがあってはならないということです。

最後に大人向け説明をすれば、「お客様の手元に傷(誤り)のない新鮮な作物(紙面)をお届けする」という任務の一翼を担うのが校閲記者の仕事ということになるでしょうか。
【岸田真人】

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