「長さ」がテーマの漢字クイズで正解率最低は「指呼の間」(38%)。難しかったのは「間」の読みです。辞書の中には「指呼」の用例として挙げられているのに「間」の読みが書いていないものが散見されますが、辞書としては欠陥ではないでしょうか…
〈読めますか?〉結果

この週は「長さ」。4月11日がメートル法公布記念日ということからのテーマでしたが、難問ぞろいの週となりました。


正解
キロメートル 63%
センチメートル 20%
へいべい 17%
「粁」が最も正解率が高かったのですが、それでも63%。「センチメートル」を選んだ人は「千」の音にだまされたようです。センチメートルの漢字は「糎」、ミリメートルは「粍」、マイクロメートルは「粆」。このマイクロメートルというのは、かつての「ミクロン」で、使わなくなって10年近くたちますが、いまだに校閲段階で直すことがよくあります。


正解
幾尋いくひろ 46%
いくばく 48%
きか 6%
「幾尋」の「尋」は単位としては今使われませんが、名前では今でもよく見ます。中でも映画「千と千尋の神隠し」は有名ですね。なお正答より多かった「いくばく」は「幾許」「幾何」などと書きます。


正解
指呼の間しこのかん 38%
しこのま 54%
ゆびぶえのあいだ 8%
「指呼の間」は字としては簡単ですが難しかったのは「間」の読みです。「ま」「あいだ」「かん」に加え「けん」「あい」なんてものもありますね。辞書の中には「指呼」の用例として「指呼の間」が挙げられているのに「間」の読みが書いていないものが散見されます。これは辞書としては欠陥ではないでしょうか。


正解
規矩きく 54%
ききょ 29%
きし 18%
「規矩」は「孟子」に使われています。「規矩を以(用)いざれば、方員(四角形と円形)を成すことあたわず」。孟子お得意の比喩です
古(いにしえ)の離婁(りろう)のようにいくら人並みすぐれた視力があっても、また公輸子(こうゆし)のようにいくら手先が器用でも、規(コンパス)や矩(じょうぎ)がなくては、四角形や円形を正確に書くことはできない。(中略)いかに尭舜の道を心得た人でも、〔規や矩というべき〕仁愛の政治によって行なわなければ、天下を泰平に治めることはできない。
岩波文庫の訳
そういえば、昔の政治家は比喩が巧みでした。ちょっと前だと、昨年亡くなった塩川正十郎さんの「母屋でおかゆをすすっているのに、離れですき焼きを食べている」という国家予算の比喩が思い出されます。今の政治家は品の悪い失言が目立つばかりだと思いませんか。


正解
曲尺かねじゃく 47%
まげじゃく 37%
くじらじゃく 16%
「曲尺」はさまざまな表記と読みがあります。「矩」を使った「矩尺」でも「かねじゃく」と読みますし、「曲尺」は「まがりじゃく」「まがりがね」「きょくしゃく」とも読みます。「差し金」(「指矩」とも)は同義語ですが、物差しの意味よりは「陰で操る者」という使い方の方が有名でしょう。この由来は一説に、歌舞伎の小道具で、チョウなどを飛ばすのに使う針金からとされています。

それはともかく、以前、高名な文化人のコラム中「曲がり尺」という表記が新聞に出て、間違いではないのですが、筆者の元の原稿でもこの表記だったのだろうかと職場の先輩が言ってきました。もしかしたら筆者としては「曲尺(かねじゃく)」のつもりだったのに、その言葉を知らない誰かの「さしがね」で送り仮名を入れてしまったのではないか? 結局真相は分からずじまいでしたが、その時まで出題者自身もこの言葉を知らなかったので、人ごとではないと冷や汗をかきました。今回のテーマでその時のことを思い出して出題した次第です。
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