【結果と解説】「訓」がテーマの〈読めますか?〉で正解率最低は「訓む」(47%)でした。常用漢字表にある「愁い」(68%)も低め。情緒のある美しい日本語と思いますが、「憂い」に比べあまり使われないせいでしょうか…
〈読めますか?〉結果

この週は「訓」。「訓は音読み」ということを知って衝撃だったというツイートがありました。あまり意識していませんでしたが、訓は音で訓よみは「よみ」……確かにややこしいですね。
正解
訓むよむ 47%
たしなむ 43%
くむ 10%
今回の正解率で最も低かったのは「訓む」でしたが、「たしなむ」の誤答が正解に迫るほどの回答を集めたのはどういうことでしょう。「たしなむ」の漢字は「嗜む」です。「酒をたしなむ」など嗜好(しこう)品としてのイメージが強い漢字ですが、「たしなみ」は「身だしなみ」などの言葉があるように、「心がけ」の意味もあります。一方「訓」には「教訓」「訓示」に使われるように「教え」の意味があり、「たしなみ」を連想させる……と関連付けるのは、うがちすぎでしょうか。


正解
蒔くまく 96%
ときめく 3%
とく 1%
「和語はひらがなで書くべきだ」というご意見もいただきました。実は毎日新聞でも、例えば「蒔く」は「まく」と仮名書きしています。「蒔」は常用漢字ではないことが大きな理由ですが、「種をまく」は「蒔く」か「播く」かという選択の必要がなくなるわけですから、新聞記事の文章としては合理的といえます。ちなみに、この週で大いに参照させてもらった「漢字の使い分けときあかし辞典」(円満字二郎著、研究社)によると
《蒔》はもともとは“移し植える”という意味なので、“あらかじめ決めた場所に”という意味合いを持つ。(中略)そこで、種を「まく」場合でも、場所がかなり限定されているケースでは、《蒔》を用いる方が、漢字の持つイメージからすればふさわしい。
と「播」との違いの説明の上で「細かいニュアンスにこだわらないのであれば、どちらを使っても、意味は同じである」と添えられています。


その他、新聞表記では、常用漢字音訓表にしたがい「更まる」は「改まる」に、「訓む」は「読む」に、「萌す」は「兆す」に直すようにしています。もちろん漢字が違う以上、微妙なニュアンスの違いがあり「漢字の使い分けときあかし辞典」にもそれぞれ説明されているのですが、同書でも「一般的には《改》を用いる」「あえて《訓》を使うと、かなり古めかしい雰囲気になるので注意」「ほとんどの場合は《兆》を用いる」などとあり、新聞だけが漢字表記を強引に単純化させているわけではありません。
正解
更まるあらたまる 71%
かしこまる 22%
くるまる 7%


もっとも「恋の萌し」なんていう漢字は「兆し」にはない趣があります。同書にはその気持ちがこう「ときあかし」されています。
《兆》は“頭を使う”という理知的な雰囲気を持つ漢字。“ある気持ちを感じ始める”という感情が主になる場面では、《萌》を使う方がなじみやすい。
正解
萌すきざす 75%
もだす 17%
はらす 7%


さて、今回の正解率で気になったのは「愁い」の68%です。「愁い」「愁える」は常用漢字表にあるのですが、「憂」に比べてあまり使われませんから、読みがわからない人が多いのでしょうか。「愁い」も情緒のある美しい日本語だと思います。「憂い」だけになるのは、憂いを禁じえません。
正解
愁いうれい 68%
ものうい 27%
はかない 6%

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