本来とは違う意味合いで使われている言葉や、辞書ではあまり見つからない表現について、しばしば見かける例を挙げ、「直す」か「直さない」かをマスコミ各社の用語担当者に聞いたアンケートをまとめた第2弾です。(調査について詳しくは①をご覧ください

2014年秋のアンケートから。回答したのは21社(全国紙・通信社7、スポーツ紙3、テレビ局5、地方紙6)の用語担当者。どちらとも言えないとした場合は0.5ずつカウントした。話し言葉や寄稿文、引用などの場合は除く。

たなびく

例文
デモ参加者は色とりどりの旗をたなびかせながら行進した。
直す=16社
直さない=5社
4分の3強が「直す」とした。理由としては「『たなびく』は雲など形の変わるものに」「風によって旗が揺れるのは『なびく』である」などが挙がった。直し方の例は「なびかせながら」「はためかせながら」など。

「許容の範囲」などとして「直さない」は5社。その中には「雲やかすみ以外にも、横に長いものが風に流されていることに適用してもいいと感じる。ただ『髪がたなびく』だと違和感がある」という意見があった。

辞書に掲載されている一般的な意味の例
雲やかすみ、煙などが横に薄く長く漂う


帯同

例文
けがから復帰した本田はチームに帯同し、残り試合の出場を目指す。
直す=17社
直さない=4社
「つい使ってしまいがち」「違和感を持たれないだろうし、本来の用法よりこちらの方がすでに一般的になっているのは理解しているが」などとしながらも、「直す」という声が多かった。直し方の例は「合流」「同行」など。

一方、「とくにスポーツ紙では完全に一般表現になっている」という声があったように、スポーツ紙では3社のうち2社が「直さない」とした。

辞書に掲載されている一般的な意味の例
一緒に連れていく


掲げる

例文
受賞が決まった瞬間、鈴木さんは両手を掲げて喜びを表した。
直す=19.5社
直さない=1.5社
「掲げる」は「何かを人目に付くように示すために上にあげることで、手そのものに意味があるわけではないと思われる」「何かを手に持っているイメージがある」などの意見が多く、この場合は「上げて」「挙げて」「あげて」などに直すという声が圧倒的だった。

ただ、「直す」としつつ「多数の使用例があり、すでにお手上げ状態」とコメントした社も。許容範囲とする意見もゼロではなかった。

辞書に掲載されている一般的な意味の例
手に持って目立つように高く上げる


たたずむ

例文
旬の素材にこだわるその老舗料亭は、大阪・梅田のオフィス街の一角にたたずんでいる。
直す=14.5社
直さない=6.5社
「たたずむ」は本来「人」に使う表現であるとして「直す」という意見が多かったが、「直さない」も3分の1弱を占めた。それぞれ「小説的な文章で擬人化の意図を感じれば直さないかもしれないが、この場合は特に意味を感じないので『ある』でいいと思う」「擬人化/静かにそこにある感じで直しにくい」など、迷うコメントが散見された。直し方の例は「一角にある」「建っている」など。

「以前は直していたが、もはや定着した感がある」「人間でなくても比喩的に使っているのであれば、そのままに」など、人以外への使用を許容する声も少なくなかった。

辞書に掲載されている一般的な意味の例
しばらくその場所に立っている


かみ殺す

例文
終盤の追い上げも及ばず1点差で敗れ、悔しさをかみ殺して話す巨人・原監督。
直す=19社
直さない=2社
「かみ殺す」を悔しさにも使えるかどうかがポイントだったが、「直す」が大半を占めた。直し方の例は「押し殺して」「こらえて」「抑えて」など。

許容できるとする声はほとんどなく、「実際に多数使われ、直していない」とした社も「直したい」とコメントした。

辞書に掲載されている一般的な意味の例
笑いやあくびなどを無理に抑える
(③に続く)
〈直す? 直さない? マスコミの用語担当者が気になる表現〉 他の記事はこちら
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