〈読めますか?〉結果
出題日は12月21~12月25日

この週は全国にある固有名詞「八幡」をどう読むかがテーマでした。

読者からこんなツイートをいただきました。
外食チェーンの店舗がまだ少なくて西日本カバーしてた頃。滋賀の近江八幡店と京都の八幡店、北九州の八幡東店の区別で 、苦労しました。
このように「八幡」の読みはいろいろあって知らないと迷ってしまいます。

迷うといえば、出口が分からず迷うことを表す「八幡(やわた)のやぶ知らず」ということわざがあるのをご存じでしょうか。これは千葉県市川市の地名が語源で、「本八幡(もとやわた)駅」などの駅名にもなっています。


正解
群馬八幡駅ぐんまやわたえき 39%
ぐんまはちまんえき 40%
ぐんまやはたえき 21%
「群馬八幡駅」の解説で記したように、駅名では「やはた」はほとんど見られないということはありますが、それ以外でも「やわた」と「はちまん」が同じくらい散らばっていますので、一つ一つ覚えなければなりません。群馬八幡駅は、高崎のだるま市(6、7日)で有名な寺の最寄り駅ということで選びましたが、正解率はこの週で最も低くなりました。


正解
八幡市駅やわたしえき 63%
やはたしえき 27%
はちまんいちえき 10%
「八幡市駅」は初詣の人気スポット「石清水八幡宮」が近くにあり、既にこれだけで「やわた」「はちまん」の読みが混在しています。ところで出題時、解説に「石清水八幡宮の最寄り駅」と書いていました。京阪本線の最寄り駅としては間違いないのですが、同駅から出ているケーブルカーの「男山山上駅」が石清水八幡宮のすぐそばですので、厳密にはよくありませんでした。今は「近く」と直しています。


正解
穴八幡宮あなはちまんぐう 86%
あなやわたぐう 9%
あなやはたぐう 5%
「穴八幡宮」は「一陽来復」のお守りで有名。元日、初詣に行ってお守りを買ってきました。その隣の「放生寺」で売っていたのは、1字違いの「一陽来福」のお守りです。「一陽来福」というのは間違いの四字熟語として取り上げられることも多いのですが、今ではパソコンで一発変換してくれることもあり、新聞では誤字を見ることはまずありせん。しかしわざと「福」の字を用いるケースもあるので、放生寺のお守りについて誤字だと早合点して「復」に直すことのないよう気を付けなければなりません。ちなみに漫画に「一陽来福」という題の作品がありますが、作者の桑田乃梨子さんの後書きによると、間違って付け編集者に指摘されたのですが「もじってつけたタイトルみたいだしかえってよかったか」とあえてそのままにしたそうです。


正解
八幡東区やはたひがしく 56%
やわたひがしく 39%
はちまんひがしく 4%
「八幡東区」は昨年、世界文化遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」の構成資産「官営八幡製鉄所」の関連施設があるので選んだのですが、この八幡製鉄所の読みはやっかいです。辞書だと「広辞苑」「大辞林」は「やわたせいてつじょ」を見出し語にしていますが、「大辞泉」「日本国語大辞典」は「やはた」。新日鉄住金八幡製鉄所に電話で確認すると、今の八幡製鉄所は「やはた」と読むのに、英語表記はYawataだそうです。区名としては「やはた」ですが、この漢字クイズでも「やはた」と「やわた」に割れているように、正確に認識されているとは限らないようです。

左は大辞林、右は大辞泉。共にiOSアプリ版より

ちなみに、柳田国男は八幡神について鍛冶の技術を持つ士族集団の氏神だったという仮説を唱えているとのこと。「日本の神々と仏」(青春出版社)によると、

かれらは移り住んだ先々で一族の氏神を祭ったと考えられ、八幡が全国に広がった理由が、これで理解できる。

日本有数の製鉄の町が福岡県北九州市、かつての八幡市にあったのも偶然ではないだろう。

とすると、「はた」は古代日本に渡来した秦氏からきたのでしょうか。それが一方で「は」から「わ」への転、一方では「はちまん」へと転じていったのでしょうか。しかし「八」は何のこと? 知的好奇心は尽きません。

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