今年、東京本社の校閲グループには3人の新入社員が配属されました。入社から半年を機に、3人に感想などを聞いてみました。

東京校閲の今年の新人。左から横山康博、大熊萌香、江沢雄志

――なぜ校閲を志望したのですか。

大熊 就職活動で言ったこととは違うと思うんですけど、昔から新聞を読むのがずっと好きで、中学校の職業体験でも地元の新聞社に行ったりして、漠然と将来は新聞に関わる仕事をしたいなと思っていました。で、就職活動をするに当たって、やっぱり自分は裏方と言いますかバックで支える仕事の方が向いているんじゃないかと思って、実際にサークルとかでも、演劇サークルをやってたんですけど、公演情報のチェックといった仕事も好きだったので、新聞社を受けるに当たっては校閲を志望しました。

横山 とりあえず、まずはそろそろ職に就かなければいけないなと思っていたのと、就職活動をしていく中でマスコミ関係を多く受けていて、それでなきゃ受からないだろうと親とかからも言われてまして、「ちょっと変な人だったら取ってくれるんじゃないの(笑い)」というところもあって、説明会までは(校閲という仕事を)知らなかったんですけど、「これだったら僕にもできるんじゃないか」と、上から目線みたいになっちゃいますけど(笑い)、言葉に携われるのであればちょっと面白いかな、と思ったのが最初のきっかけです。

江沢 もともと一般記者になりたいと思っていたんですが、震災を機に「情報の正確性」というものに興味を持ち始めて、その後、1年目の受験の時に来た説明会で校閲という仕事を知って、情報の正確性を担保できる仕事があるということを初めて知って、興味を持ちました。

――再挑戦ということですが、1年目でダメだったから「ああ、これは縁がなかった」とは思わなかったですか?

江沢 1年目にも最終面接までは通していただいていたので、とりあえず向いていなくはないのではないかと1年間考えまして、1年目の秋に一般記者ではもちろん受けたんですが、そこで受からなかったので、2年目に挑戦するならまた同じ仕事で挑戦してみようと自分に懸けた感じです。


――この半年やってみて、言葉に対する思いに、例えば「これは苦手だな」とか、変化はありましたか。

江沢 新聞で独自に使われる言葉、例えば「……される可能性が濃厚だ」という時に、「可能性」をつけないで「引退濃厚」みたいに見出しなどで使うことがあって、そういった新聞独自の表現については、まだ慣れが足りないなというところはあるので、戸惑ったりしています。主語を付けないでも使える表現がたまにあったりして、「何か入れなくていいですかね?」と聞いたら、「それは新聞特有の表現だから」というので。そこはやっぱり慣れが足りないな、というのは実感します。

大熊 大体のところは大丈夫だろうと思っていたんですけど、思った以上に自分にストックがない、というのがありまして。例えば同音異義語の使い分け、「作成(作製)」とか「探す(捜す)」というのを、今まで普通に使ってきたのに、この仕事を始めてからやっと知った、みたいなのがいっぱいあったので、足りないんだ、と。

横山 まあ、分かんないことだらけですよね。あんまり今まで新聞を読んでこなかったので、「新聞ではこんな言い回しをする」というのが出てこないので、やっぱり勉強不足なんですけど。それと、用語集の「同じ読みの使い分け」みたいなのは、まだ全然覚え切れてないし使いこなせてもいないので、そういうところは真摯(しんし)に向き合っていかなきゃいけないんじゃないかな、と思っています。


――「苦手な話」の続きですが、(日によって変わる)担当面の好き嫌い、「ここは好き」とか「ここはまだまだだな」というのはありますか。

江沢 外電面(国際面)が好きです。発生もので原稿を書くというようなことが、社会面ほどには多くないので、バタバタすることが少ない気がしているので、ご飯がしっかり食べられる。ということで。あとは運動面(スポーツ面)が、相撲などがあると(夕方から仕事が途切れなくて)ご飯を食べるタイミングがつかめないので、そこが苦手という面ではあります。食べるタイミングも難しいな、と。そこはこちらも精進して、面に合ったリズムを作っていければ、と思っています。

大熊 好きな面、というか記事だと、数字が多いと探しやすいというか。ちゃんと数字が出てくるものだと、その数字をもとに検索すれば元の資料が出てくるので調べやすかったりするので、そういうのが好きだというのはあります。決算とかの記事だと言い逃れができないので、そういうはっきり結論が出てくる記事が好き、というのはあります。苦手なものは、モヤモヤが多く残る記事はたいてい嫌いなので、社会面は……。例えば、電車が止まって影響が出た人数が何千人とか何万人とか、そういうのは調べようがないのでモヤモヤします。

横山 面の内容としては運動面が好きです。小規模のものになればなるほど調べにくい、というのはあるんですが。どこでやってんだこの大会、とか。割と身近な、好きな記事なので、そんなに苦ではないです。嫌いというか苦手なのは、原発関係とかは知らない知識がなかなか多いので、「これ大丈夫なのかな?」と思って時間もかかってしまうし、そういうところで不安な部分があります。


――これまで「しまった、失敗した」とか、逆に「ああ、よかった」という話があったら教えてください。

江沢 失敗したと思ったのは、夕刊のWiFi(無線LAN)の記事で、「WPA」(暗号化方式の一つ)が「WAP」のまま4版(最終版)までいってしまって。自分も家で使っている方式なので、そこはちゃんと直しておきたかったな、というのが一番最近では印象に残っています。あとは引き継いだ直後の対社面(社会面の右面)で来た映画賞の記事で、主演男優賞と書いてあったのが実は助演男優賞だった、というのも。割と映画は好きなので、それは自分で調べられたところだったので、そこは失敗したな、と。

大熊 失敗したのは、「朝まで生テレビ」に出演した蓮舫さんがこういうふうに言った、というくだりがありまして、蓮舫の名前が合っているかどうかと「朝生」の番組名が合っているかだけを調べて通してしまったんですけど、翌日になって蓮舫さんが朝生に出演していなかったということが発覚しまして、「ああー」と思って。そこを調べなきゃいけなかった、と。出演者を調べること自体はそんなに手間じゃないのに、そこを怠ってしまったということが、すごく失敗したな、と。訂正が出ました。

横山 過ぎたことはあんまり振り返らないようにしてるんですけど、最近であれば、割と競馬は好きなんですけど、競馬の記録で騎手の名前が入っていなかったとかいうのは「やっちゃったな」と。見れば分かることなので。大丈夫だろうと思い込んでいたというのは、まだまだ注意が足りないな、と。あとはもう、いっぱいありすぎるので……振り返らないようにしています。


――うまくいったのは?

江沢 うまくいったのは、ほとんどないです。たまたま他の面から移ってきた記事で、渡された原稿でドルと円の換算が間違っていたのを調べて元の担当者の方に戻した、というのは、1年生だからこそ基礎みたいなとこは気付きやすいな、というのはありました。

大熊 すんなりいったことは、あんまり覚えていないので……。

横山 うまくいったのは本当に……。

江沢 数独でしょ(夕刊国際面の「毎日数独」の答えの下にある二次元コードがつながらないと指摘、携帯サイトの「毎日数独」がなくなっていることが判明した)。

横山 いや、あれは暇だったから。

大熊 暇だからするか、っていうと絶対しないわけだから。

横山 いや、本当に暇だったからちょっと写真撮ってみたら見つけちゃった、というか。「今日はちょっと調子悪いな」っていう日が最近分かってきました(笑い)。

――どうもありがとうございました。
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