〈読めますか?〉結果
この週は敬老の日を前に「長寿」をテーマにしました。

by Windshear
漢字の3択クイズを出題するうえで気を付けなければならないのは、複数の読みがあり正解が二つあるのを避けることです。例えば「老若」は「ろうにゃく」「ろうじゃく」の選択肢を掲げることができません。「ろうにゃく」が普通と思いますが、辞書には「ろうじゃく」もあります。

出題の「眉雪」は「びせつ」が正解ですが、眉間のミを当て「みせつ」という読みはないか。一つの辞書だけでは安心できません。眉間だって「まゆあい」も載せる辞書があります。
正解
眉雪びせつ 71%
みせつ 24%
まゆゆき 5%

「砂」も「サ」「シャ」「すな」のほか「いさご」「さご」「まさご」という読みが漢和辞典に載っています。「砂長じて巌(いわお)となる」の場合、いろいろな辞書などにあたって、別の読みがないかどうか調べる必要があります。「さざれ」は「細れ」、「まさご」は「真砂」と書くので、このことわざに関しては「いさご」のみ正解としてよさそうです。それにしても、古代人は砂が成長して岩になると考えていたなんて、初めほほえましくも非科学的と思っていたのですが、堆積(たいせき)岩は小石が積み重なってできますので、古代人の洞察力の方が優れているといえます。
正解
「砂」長じて巌となるいさご 38%
さざれ 41%
まさご 21%

「淮南子」。「鶴は千年」の出典は淮南子ということにちなむ出題です。ただし「岩波ことわざ辞典」によると「亀は万年」は「のちに日本で補われたものかもしれない」とあり、確かに漢和辞典で調べると亀万年の言及はありません。ところで「えなんじ」の読みで通っているものの、編集したのが淮南王(わいなんおう)の劉安と聞けば、なぜ「え」と「わい」で分かれるのか疑問が湧きます。「え」は呉音、「わい」は慣用音とされています(漢音は「かい」)。紀元前2世紀成立の「淮南子」は奈良時代ごろ日本に伝わって、奈良時代以前からの読み方である呉音の方が通りがよかったということのようです。淮南という地名はもっと後から知られるようになって、その時代の一般的読みで「わい」になったのでしょう。
正解
淮南子えなんじ 59%
じゅんなんし 23%
すいなんし 19%

「尉と姥」の「尉」は大尉の「い」が有名で、「じょう」は能楽に縁がないと知らない読みではないでしょうか。なぜこの字が「じょう」になるのか不思議ですが、語源に定説はないようです。日本国語大辞典では「ジョウ(判官)の転義か」「官途に窮老の人が任ぜられることから」「『丈』の音か」「ヂヂの転訛(てんか)か」との説が挙げられています。また「姥」の字も「うば」「おば」の読みが知られます。
正解
尉と姥じょうとうば 56%
うるとうば 32%
いとおば 12%

写真の「冠着山」は、別名の「姨捨山」の方が有名でしょうが、ルビを振る場合「うばすてやま」「おばすてやま」どちらがよいか。元が伝説ですからどちらも間違いではないと思いますが、絶景で有名なJR篠ノ井線駅名は「姨捨(おばすて)」であるように、そちらが通りが良いでしょう。この漢字が「姥捨」でないことにも注意する必要があります。
正解
冠着山かむりきやま 33%
かぶきやま 41%
かんじゃくやま 26%

さて、今夕は十五夜。芭蕉翁が「更科紀行」で訪れ「俤(おもかげ)や姨ひとりなく月の友」と詠んだ姨捨山(冠着山)の名月は見られるでしょうか。
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