漢字クイズ(テーマ・刀剣)結果

回答割合は次の通り(出題日は7月13~17日、★が正解)。

しのぎ★57%たがね27%たたら15%
つか12%つば★79%わに8%
剣璽けんぎょう8%けんじ★82%けんのん11%
押取刀おうしゅとう5%おしとりがたな12%おっとりがたな★84%
一口ひとこい16%ひとさし40%ひとふり★44%

この週は「刀剣」。ゲームが火をつけたとされるブームに便乗しました。ただしマニアックな専門用語はここでは避け、刀が由来の日常的な慣用語などから選びました。

by Samuraiantiqueworld
今回最も正解率の高かった「押取刀」は毎日新聞記者必携「毎日新聞用語集」でも
おっとり刀でのんき→おっとりしていてのんき、押っ取り刀で駆け付ける
「押っ取り刀」は大慌ての状態のこと
と注意喚起しているように、誤用例として有名です。しかし「おっとり刀でのんき」なんて間違いを実際に見た記憶はありません。「おっとり刀」という言葉自体あまり使われなくなっていて、使う人は正しい意味を分かったうえで使っているのではないでしょうか。

「鎬」の慣用句といえば「鎬を削る」。これは今でも非常によく使われます。ただ鎬は常用漢字ではないので普通「しのぎ」と平仮名で書きます。ところが、この語源が忘れ去られた影響かどうか分かりませんが、激しく競り合う意味での「しのぎ合う」という語が散見されます。この使い方について、マスコミ各社の用語担当者の会合で議題になったのですが、「お互いにしのぐ(凌ぐ)というのは意味をなしていない」「使用例はボクシングなどスポーツ中心に見つかったが、いずれも我慢比べの意味」など否定的な意見が大勢でした。競い合う意味ではやはり「しのぎを削る」が妥当でしょう。

「つばぜり合い」も競り合う意味ですが、「つば競り合い」という表記を見ることがあります。まったくの誤字とはいいませんが、時代劇で互角の者同士がガッキと鍔と鍔とをかみ合わせているシーンを思い浮かべてください。「使ってみたい武士の日本語」(野火迅著、文春文庫)によると、
鍔迫り合いを制するものは、ほかならぬ腕力である。そして鍔同士の押し合いに負けて突き放されれば、そのまま間髪を入れぬ一撃の餌食になる可能性は高い。
とあるように、迫(せ)り出す力が問われるのです。だから漢字では「鍔迫り合い」と書くのが適切ですが、「迫(せ)る」は常用漢字表にある読みではないので、新聞では仮名書きにしています。
使ってみたい武士の日本語 (文春文庫)
野火 迅
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「剣璽」の「剣」はもちろんですが「璽」も常用漢字です。だから新聞では本来ルビは必要ないのですが、昨年の天皇、皇后両陛下の伊勢神宮参拝の毎日新聞記事などでは読み仮名が振ってありました。やや特殊な語だから、というより、特殊な場面でしか使われない字ですね。「常用」漢字の名に値しないといえるかもしれません。常用漢字の中には「朕」なんて前時代的なものもありますが、2010年の改定でも外れませんでした。

「一口」は難読地名としてその筋で知られ、東京・九段の一口坂(いもあらいざか)などがありますが、今回は刀剣がテーマですのでそちらはお預け。しかし刀剣の数え方を「ひとふり、ふたふり」ということは知っていても、「口」を当て字として用いるなんてことは出題者も調べるまで知りませんでした。正解率も今回最低です。

蛇足ですが、NHK「歴史秘話ヒストリア」で今月あった「あなたのココロを一刀両断~日本刀ものがたり」は心に響くものがありました。日本刀の鑑賞の仕方から始まったと思いきや、突然アニメ「るろうに剣心」の一場面が挟まれ、主人公が使う刃と峰が逆の「逆刃刀(さかばとう)」が実際に見つかったというニュースに触れます。さらに土方歳三も愛用した刀をつくった刀鍛冶の数奇な人生が感動的に描かれます。“一口”に刀剣といってもいろいろな“切り口”があるものですね。
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