漢字クイズ(テーマ・寺社のニュース)結果

回答割合は次の通り(出題日は4月27日~5月1日、★が正解)。

久米寺くべでら9%くまいでら8%くめでら★83%
金刀比羅宮かなとひらぐう2%ことひらぐう★44%こんぴらぐう54%
飛鳥坐神社あすかぐらじんじゃ60%あすかにいますじんじゃ★37%ひちょうざじんじゃ3%
当麻寺たいまでら★56%とうまでら22%とまでら22%

この週は「寺社のニュース」から。謎の「油のようなもの」をまかれたという神社仏閣です。

このニュースが報じられるようになって気になっていたのは、被害に遭った寺社のほとんどが奈良であり、京都の被害は東寺など限られていること。しかも、一般的な観光コースに組み込まれないような、あまり有名でない寺社が多いことです。もちろん、観光客が絶えないところでは油かなにかをまくのも難しいでしょう。だから意図的に、ふだんひっそりとした寺社を標的にしたのかもしれません。しかし、観光客のにぎわいに邪魔されずじっくりと仏像と対面したり雰囲気を味わったりしたい人には、そういう寺こそ向いています。それだけにこの犯人には憤りを覚えます。

by 663highland
今回最も正解率が高くなったのは「久米寺」ですが、おそらくもっとも一般的な読みだからであり、この寺が有名だからというわけではないでしょう。しかし、女性の「ナマ脚」をみて空から落ちた仙人の伝説を耳にして、「やっぱり仙人でも男は男」と少し苦い思いでうなずいた人は多いと思います。その「久米仙人」にちなんだ寺だと知ると、親しみがわいてきます。

最も難しかったのは「飛鳥坐神社」。ここも実は「性」がらみ、というより露骨に性交のまねごとをする「おんだ祭」という奇祭が2月にあるそうです。松本清張・樋口清之「奈良の旅」(光文社)によると「稲の増産を、人間のその行為でねがう古い呪術」といいます。

この神社は折口信夫にゆかりがありますが、さらに関係深いのが「当麻寺」。彼の小説「死者の書」はこの地を舞台にしています。正解率56%ですから、よく知られている寺とはいえません。しかし毎年5月14日に行われる「練供養会式」は近畿圏のニュースにはよくなっているようです。

なお、当麻寺がある「葛城市」の「葛」の字体はやっかいです。2004年に合併で誕生した市ですが、下の部分が「匂」なのです。当時は下が「匃」となっている字体がコンピューターで出しにくいという事情があったのですが、JISの改定などによって、今は逆に下が「匂」の方が表示の困難な字体になってしまいました。ですから新聞や広報紙で下が「匂」の市名が書かれていても、ホームページ上ではほとんど「葛城市」と表示されます。しかも2010年の常用漢字表改定で下が「匃」の「葛」が入りましたので、ますます非公認的な字になりました。葛城市の学校では「葛藤」の字と市名とを別に書くよう教えているのでしょうか。ご存じであればご一報ください。

それはさておき「金刀比羅宮」について。「ことひらぐう」より「こんぴらぐう」の方が多いという結果は、正式名称にもかかわらずいかに「こんぴら」という通称の方が親しまれているかを表しています。この香川県の金刀比羅宮とは別の所ですが、以前毎日新聞山口版にこんな訂正がありました。「『福浦金比羅宮で例祭』の記事と見出しで、『金比羅宮』とあるのは『金刀比羅宮』の誤りでした」

ややこしいのですが、山口県下関市の「福浦金比羅公園」にある神社は「金刀比羅宮」。さらに複雑なことに、下関市「金比羅町」には別の「金比羅公園」があり、そこにあるのは「金毘羅宮」ということになっています。これだけ紛らわしい要素がそろっていれば間違えるのも無理はない? いえそんなこと校閲としては口が裂けても言えません。神社の名前を間違えるようでは、油か何かをかける悪事を「罰当たりだ」と非難できないでしょう。気をつけなければ。
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