漢字クイズ(テーマ・道)結果

回答割合は次の通り(出題日は3月23~27日、★が正解)。
二河白道にかはくとう24%にがびゃくどう★40%にこうびゃくどう36%
隘路あいろ★79%いつろ10%きょうろ11%
葛折りくずおり17%かつらおり9%つづらおり★74%
駅路えきじ49%えきみち15%えきろ★37%
隧道さんどう5%ずいどう★82%ついどう13%

この週は「道」がテーマでした。

「二河白道」はお彼岸にちなんだ出題です。あまり知られていないようです。中国・唐の浄土教の僧、善導の「観経疏(かんぎょうしょ)」に出るたとえからきた熟語です。「白=ビャク」を含めすべて常用漢字表にある読みですが、なじみがないので新聞ではルビが必要でしょう。

「隘路」は常用漢字表に「隘」がないにもかかわらず、それなりに読めています。ただし、新聞に使うときは、読めない人が少なくとも2割以上いることを考えて、できるだけ「難関」など易しい言葉に言い換えるべきでしょう。ルビがあればいいと思う筆者はいるでしょうが、読みが分かっても意味が通じているとは限りません。

「葛折り」の葛は2010年に常用漢字表に入りましたが、音訓は「カツ」「くず」のみですので、新聞では「つづら」と仮名で書かなければなりません。「九十九折り」とも書きますが、これも常用漢字表の表外訓にあたりますので認められません。「新明解語源辞典」(三省堂)によると「かつては『九折』『盤折』とも書かれた。『九十九折り』と書くのは新しい。『九十九』は数の多いことを表す」とのことです。

今回最も正解率が低かったのは「駅路」でした。これは常用漢字表の範囲内で、ともに音読みすれば正解のはずなのに、皮肉な結果です。理由として考えられるのは①この語が知られていない②漢字クイズとしては「えきろ」が正解だと単純すぎると思われた③「旅路」「家路」の連想で「路=じ」のイメージが強かった④「うまやじ」が正解と思った人が選択肢にないので「えきじ」を選んだ――など。

④については実際、読者から「駅路の読みは『うまやじ』が主で『えきろ』が従だった。主たる方を選んでほしかった」という意見を頂戴しました。しかし、広辞苑など数種の国語辞典は「うまやじ」を引くと「→えきろ」となっています。逆に誘導する辞書は見当たりません。山川出版社の日本史の高校教科書でも「えきろ」とルビがついています。また、松本清張の短編「駅路」も「えきろ」です。以上のことから正解は「えきろ」を選び、解説で「『うまやじ』とも」と書きました。

なお、清張の「駅路」は4度もドラマ化されていますが出題者は未見です。清張の短編の映像化としては「天城越え」(1983年、田中裕子主演)が鮮烈な印象として刻み込まれました。リバイバル上映の「砂の器」との2本立てという至福の映画体験でした。

「天城越え」はタイトルから分かるように川端康成の「伊豆の踊子」を下敷きにしています。両作品に出てくる有名なトンネル(写真)の正式名称は「天城山隧道(あまぎさんずいどう)」です。この「隧道」、隧の字が常用漢字外で新聞などでは「トンネル」と書き換えますが、固有名詞としては別の語にはできません。ただし天城山隧道は今「旧天城トンネル」という通称の方がよく使われているかもしれません。しかし「隧道」の読みは今回最も高い正解率で意外に知られているし、古びた趣を字から醸し出せるので、正式名称は排除せず使ってほしい気がします。

――と思いましたが漢和辞典を見て前言撤回。「隧道」はもと「墓穴に通じる道」の意味があり、「道」という字は、白川静さんによると「首を手に持って行く」(「常用字解」平凡社)ことを表したそうです。更にいえば、天城山隧道は心霊スポットだそうです。言霊が怖いので「旧天城トンネル」でいいでしょう。
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