漢字クイズ(テーマ・幕末明治の人名)結果


回答割合は次の通り(出題日は2月23~27日、★が正解)。
前島密まえじまひそか★93%まえじまみそか4%まえじまみち3%
三条実美さんじょうさねとみ★51%さんじょうさねよし45%さんじょうまさみ4%
岩倉具視いわくらかねみ1%いわくらともみ★94%いわくらよしみ5%
木戸孝允きどこうべん2%きどたかみつ21%きどたかよし★77%
楫取素彦いとりもとひこ39%かとりもとひこ★55%とうどりもとひこ6%

この週は「幕末明治の人名」でした。

歴史上の人物をテーマにするのは、これまでなるべく避けるようにしていました。というのは、正解がはっきり出せない、もしくは正解が複数あるというケースが予想されるためです。

中国文学者、高島俊男さんは「慶喜(けいき)と慶喜(よしのぶ)」という、最後の将軍・徳川慶喜に関する文をはじめ、日本人の名前の読みはいかに柔軟で不明確かを、豊富な例を基に述べています(「お言葉ですが…⑦」文芸春秋)。比較的最近の人では、菊池寛(ひろし)、松本清張(きよはる)、安部公房(きみふさ)。有名になると、ほんとうの名前ではなく音読みされるようになり、作家としては「かん」「せいちょう」「こうぼう」となったそうです。「一種のペンネーム、あるいは『著名人ネーム』」といいます(同所収「ヒロシとは俺のことかと菊池寛」)。

木戸孝允

その中で、普段音読みされる政治家の例に挙げられるのが「木戸孝允(こういん)」です。たしかに、教科書では「たかよし」と教わったはずだけど、「こういん」と覚えている人は多いのではないでしょうか(出題者もそうです)。しかし今、パソコンで「きどこういん」と入力すると「木戸工員」と変換してしまいます。「きどたかよし」では一発変換OK。デジタル時代には、一般に流布されている通称名は排除され、教科書通りの入力しか認めないのだとしたら、なんとなく息苦しさを感じます。

前島密

それでも3択漢字クイズにしてしまうからには、「通称」は排除し、かつ、なるべく「正解」から離れた誤答を設定しなければなりません。正解に「ニアミス」する選択肢だと、「実はそうも言った」という思わぬ展開にもなりかねませんから。

楫取素彦

例えば「前島密」だと「まえじまみつ」、「楫取素彦」だと「かじとりもとひこ」を選択肢に出した方が、多少は正解率が下がったかもしれません。ですから、正解率が高くても真の理解度を示すわけではありません。むしろ、著名と思われる「前島密」「岩倉具視」でさえ95%に達しない数字であることに、驚くべきかもしれません。

岩倉具視

最も正解が少なかったのは「三条実美」。これも「さねみ」を誤りの選択肢に入れるともっと下がったと思われます。「さねみ」とも言ったという記録を見いだしたわけではなく、単にその可能性を恐れて外したのです。このように慎重を期したつもりですが、万一「正解が二つある」ということにお気づきであればご一報ください。

三条実美

以下、無用のことです。

先日の施政方針演説で安倍晋三首相は岩倉具視の言葉として次のように述べました。「日本は小さい国かもしれないが、国民みんなが心を一つにして、国力を盛んにするならば、世界で活躍する国になることも決して困難ではない」

これ、元はこんな文だったようです。「我が国小なりといえども誠によく上下同心その目的を一にし、務めて国力を培養せば、宇内(うだい)に雄飛し万国に対立するの大業甚だ難しきにあらざるべし」

「宇内」は「世界」のこと。「対立」はここでは単に「並び立つ」意味だったのかもしれません。ただ、その後の歴史を鑑みると「対立」の2文字が血の臭いを帯びるほど不気味に感じられます。

安倍さんは続けて「明治の日本人に出来て、今の日本人にできないわけはありません。今こそ、国民と共に、この道を、前に向かって、再び歩み出す時です」と意気軒高に述べました。

「この道」とはどんな道なんでしょうね。


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