新聞校閲の仕事の中で実際に出合ったケースを例に、社内向けに表現や表記などの注意点をとりあげた内容から、一部をご紹介します。

「暮れなずむ海上」をフェリーで渡るという一文。この「暮れなずむ」、しばしば「暮れてゆく」と混同されるが、本来の意味は「暮れそうでなかなか暮れない」。時は11月。「つるべ落とし」とも形容される秋の日の描写としては違和感が強く、「暮れかかる」と直した。海援隊の名曲「贈る言葉」の2番は「夕暮れの風に途切れたけれど」と始まる。やはり、「暮れなずむ町の……」の1番の時点ではまだ暮れていないのだ。

サムライブルーの憂鬱

サッカー関連の記事中、日本代表が昨年6月のワールドカップで「予選敗退」したとあった。日本が敗退したのは「1次リーグ」で、れっきとした「本戦」。その前の段階、ブラジルへの切符を懸けて大陸ごとに行われたのが「予選」だ。代表への失望感も相まって普段の会話でも「予選」と言ってしまいがちだが、厳しいアジアの戦いを勝ち抜いてたどり着いた舞台だということは忘れないでおきたい。

実録「間違いの隣に間違い」

原稿中、ある病院の所在地が「神奈川県相模市」となっていた。毎日新聞では政令指定都市の場合、字数削減の意味もあり県名を省略することにしているため、「神奈川県」を省いた後、一拍遅れて相模原の「原」が抜けていることに気付き、肝を冷やした。校閲部署に古くから伝わる「間違いの隣に間違いあり」の格言を、改めて肝に銘じた一件だった。

植物に含まれる繊維は?(最近の入力ミスから)

×植物繊維→○食物繊維
×子どもの日→○こどもの日
×磯崎陽輔→○礒崎陽輔(首相補佐官)
【植松厚太郎】

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