漢字クイズ(テーマ・東京日日新聞創刊号より)結果

この週は2月12日の毎日新聞5万号(東京・北海道管内)にちなみ、前身である東京日日新聞の創刊号から選びました。

回答割合は次の通り(出題日は2月9~16日、★が正解)。
郷士きょうし12%ごうし★83%さとざむらい5%
淹留ありゅう21%えんりゅう★77%おれりゅう2%
江湖叢談えこぎょうだん12%こうこそうだん★80%ごうこしゅだん8%
窃ににわかに23%ひそかに★55%よこしまに21%

東京日日新聞は1872(明治5)年2月21日に創刊されました。くしくも、きのうの日付です。ただしこれは陰暦の月日。太陽暦では3月29日に当たります。創刊号には「明治五年壬申二月廿一日 西洋千八百七十二年三月廿九日」とあります。明治6年の太陽暦への変更前から併記し、読者の混乱を招かないようにという配慮がうかがえます。そして、5万号を数えてもその欄外には「2015年(平成27年)」と西暦・年号の併記は続いています。

これは東京日日新聞が始めたことではありません。昨年、日本人が日本語で発行した最古の新聞とみられる「文久二年壬戍正月元日」と書かれた史料が京都で発見されました。そこには驚くことに、当時まだ珍しかったはずのアラビア数字で「1862」の文字がはっきりと読み取れます。なお「戍」の字は正確には「戌」とすべきです。「衛戍(えいじゅ)」などに用いる「戍」は「戌(いぬ)」とは別字なので、これが日本初の日本語新聞とすると、日本の新聞の歴史は誤字とともに始まったといえるでしょう。

東京日日新聞の創刊号の一部分(赤印は編者による)

前置きが長くなりました。今回の漢字で最も正解率が高かったのは「郷士」。東京日日新聞の創刊号に「旧来郷士ト称シ家筋由緒有之候者ハ士族ヘ入籍可」とあります。ちなみに坂本龍馬は土佐藩の下士だったのですが、郷士はその中では上級だったそうです。武士としては「下の上」といっていいのでしょうか。郷士は武士なのに農業を営んだり、農民や商人から郷士になる者が現れたりして、江戸時代の身分は「士農工商」と単純化できない複雑さがあります。

「淹留」の「淹」は「お茶を淹れる」などで知られますが、音読みはかなり難しいと思っていました。が、「おれりゅう」なんていう遊びの選択肢を入れたせいで、あてずっぽうでも正解しやすくなったかもしれません。なお「お茶を淹れる・入れる」は毎日新聞では「いれる」と仮名書きに直しています。

「江湖叢談」は東京日日新聞の社会面に当たる欄。いきなり今でいうストーカーのような僧侶による殺人事件が載っています。その他に掲載されているのは今の政治記事、外電記事みたいな情報ですので、硬軟バランスの取れた構成になっています。

江湖叢談の中に出てくるのが「窃に」。今回最も低い正解率となりました。原文では旧字の「竊」が書かれています。今ではまず見ない字ですので、こちらで出題したらさらに低くなったでしょう。

そういえば図の脇の「盬湖之畧圖」も5字中3字が今は普通使わない旧字・異体字。新字体では「塩湖之略図」です。また原文では「淹留」の「留」の字が略字「畄」になっています。

日本の新聞で初めて5万号を達成した毎日新聞の歴史をたどることは、日本語の143年の歴史を振り返ることでもあります。ずいぶん読みやすくなりましたが、まだまだ難しい漢字などが多いと思います。このサイトがクイズを通して少しでも読者の漢字への理解や関心につながれば幸いです。

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