漢字クイズ(テーマ・名)結果

12月8~12日の回答割合は次の通り(★が正解)。
勇名いさな51%ゆうみょう11%ゆうめい★38%
巫山戯るたまげる13%ふざける★61%みさげる27%
字種あざたね28%じしゅ★40%じだね31%
擅にするあらわにする27%だんにする13%ほしいままにする★60%
愛猫あいねこ6%あいびょう★90%まなねこ5%

この週のテーマは「名」。衆院選で嫌というほどたくさんの名前を目にしたことと、このほど人名用漢字に「巫」の字が追加される方向になったことを受けたものです。

この週の正解率最低が「勇名」で、次に低かったのが「字種」という結果には、いささかたまげました(ちなみに「たまげる」は漢字だと「魂消る」)。この漢字クイズでは以前から、普通に読めば正解のはずの語が逆に低くなる傾向はありました。単語のみの出題で「勇名をはせる」など文脈の助けがないので難しいのでしょうか。いや、それを差し引いても、「勇名」「字種」の語自体があまり知られていないことを、この正解率は示しているように思います。

「勇名」は「勇名をはせる」が「有名をはせる」と誤りがちだとして、校閲としては「有名」な要注意語なのです。誤答の多かった「いさな」は「勇魚」などの字を書きクジラを表します。

「字種」は関係者以外使わない語かもしれません。10年前、人名用漢字に「1字種2字体」が導入されたのは新聞校閲にとって衝撃的でしたが……。というのは、例えば「凛」という字は俗字なので「凜」に直しているのですが、法務省も認めていないというのはその際の印籠(いんろう)として機能したからです。しかし今は「おかみ」の支援がなく、「凛」を使いたいという筆者がいると「俗字」ということのみを根拠に説明しなくてはならなくなりました。

ちなみに、明治安田生命による今年生まれた子供の名前ランキングによると、女の子の名前として「凛」が「陽菜」とともにトップ。これとは別に「凜」が10位。多分「凛」と名付けたりする人のほとんどは、それが俗字という意識がないでしょう。この子たちが新聞紙面をにぎわすようになると「本人の希望」で「凛」の字にという流れが強くなりそうで、今から暗然とします。

今回人名用漢字に加わることになった「巫」を使った語として「巫山戯る」を出題しました。「巫山(ふざん)の夢」というと、男女の情交を表す成句です。中国の楚の王が昼寝の夢で巫山に住むという神女と契ったという故事をもとに「巫山戯る」の当て字となったとのこと。昔は「男女がいちゃつく」意として遊里などで用いられたようです。

「擅にする」。出題時の解説に記したように「天才の名を擅にする」の例を持ち出してテーマ「名」と結びつけました。「独壇場」が実は「独擅場(どくせんじょう)」の誤りからできた語と知っている人には、「ああ、あの字だから『ほしいまま』なのか」と思っていただけたのではないでしょうか。

今回最も正解率の高かったのは「愛猫」。安倍晋三首相が、政権を奪取した2年前の衆院選の直前に、キラキラネームについて講演したという話を、読売、朝日の両新聞によって知りました。「愛猫」を「キティ」、「光宙」を「ピカチュウ」と読ませる名を付ける親がいるといいます。ふざけた話と思う人も多いでしょうが、実在するのでしょうか。「名前の暗号」(新潮新書)によると、筆者・山口謡司さんのめいの通う幼稚園の名簿には「泡姫(ありえる)」「黄熊(ぷう)」という名前があったそうなので、「愛猫(キティ)」も「ありえる」ことといえるでしょう。

しかし、「そういう親も指導しなければいけない」と親への教育に取り組む考えを示したという安倍首相には「気持ちは分かるけど、本気?」と疑問を抱きます。実際、政権を取ってその方面で指導したという話は寡聞にして知りません。しかし、いまや権勢をほしいままにする安倍首相のこと、よくもあしくも今後どんな指導力を発揮することやら。親向けの「道徳の教科書」をつくって受講させるようになるかもしれませんね。

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