漢字クイズ(テーマ・天と地)結果

10月6~10日の回答割合は次の通り(★が正解)。
天地の詞あまちののりと35%あめつちのことば★55%てんちのうた10%
霹靂かいびゃく3%ひれき3%へきれき★94%
天地無用あまちむよう3%てんちぶよう1%てんちむよう★96%
地霊じれい30%ちりょう37%ちれい★33%
澄明ちょうめい★59%とうめい10%とうみょう31%

この週は「天と地」。直接の契機は御嶽山の噴火や相次ぐ水害などの天変地異です。また、文化庁「国語に関する世論調査」の中で「天地無用」が取り上げられていたことも意識しました。

その「天地無用」の正解率が最も高かったのですが、国語調査でも漢字の読みではなく意味が問われていましたから、読みやすいのは分かっていました。日常生活では段ボールに多く見られますが、引っ越しのアルバイト学生らには意味を分かってもらえているのでしょうか。なお、新聞に載せる写真の原稿では、上下が分かりにくいものがあると「↑天」「地↓」などと書かれています。

微差で「霹靂」。難しい漢字ですがよく読めています。御嶽山噴火はまさしく青天の霹靂でしたが、霹靂とは稲妻のこと。この稲妻の読みは「いなづま」か「いなずま」かというテーマのコラムは以前「毎日ことば」でも取り上げました。発音上は同じなのでどちらでもいいじゃないかと思う方もいるでしょうが、パソコンなどの入力では「いなづま」と打っても一発変換しないと思います。「霹靂」という難しい字がパソコンでは楽に出せるのに、現代仮名遣いで入力しないと「稲妻」がすぐ出てこないというのは皮肉です。

「澄明」の59%は、常用漢字音訓表にある読みだという割には低い数字です。訓の「澄む」に比べ音読みが知られていないことがうかがえます。ほとんど使われないかというとそうでもなく、今回の御嶽山噴火を受けた毎日新聞夕刊「近事片々」では「天界を押し上げたような、澄明な秋晴れがかなしい」とありました。

「天地の詞」。いろは歌成立以前にひらがな1文字ずつ繰り返さないように並べたものです。「あめ、つち、ほし、そら、やま……」と初めは今でも基本的な言葉が続くのですが、最後の方で「ゆわ」という謎の言葉が出てきます。大辞林などには「硫黄」のこととあります。どうやらはっきりそうと決まっていないようですが、古代人にとっても硫黄はなじみ深い言葉だったのかもしれません。今も昔も日本は火山と温泉の国ですから。

今回最も難しかったのは「地霊」。こういう一見簡単な語が漢字クイズでは逆に惑わせることは、これまでもよく見られました。

さて、今回は問題にしませんでしたが、天と地のテーマにぴったりな言葉は「杞憂(きゆう)」です。「天地が崩れるのでは」という取り越し苦労の意味はよく知られていると思いますが、出典である中国の古典「列子」の話はもっと複雑だったと最近知りました。天地の崩壊を心配する人、そんな心配は無用だと言う人の後で、賢者が「崩れるのを心配する者も現実離れしているが、かといって、崩れないと言い切る者も、正しいとは言えん」「いざそのときになったら、どうしたって心配しないではいられまいよ」と言うのです。「列子」にはさらに先があって、列子自身が登場し「そんなことを考えたって仕方がない」と結論付けます。以上、円満字二郎さんの近著「ひねくれ古典『列子』を読む」(新潮選書)で知りました。

その列子の結論は真実の一面かもしれませんが、それよりも賢者の言葉の方が、天変地異を経験したばかりの私たちにとって、なんとも不気味な予言に感じられるのではないでしょうか。たとえ結果的に杞憂となろうと、災害への備えは怠ってはならないという戒めにすべきでしょう。

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