漢字クイズ(テーマ・月)結果

9月8~12日の回答割合は次の通り(★が正解)。
三五夜さぶごや13%さんごや★68%みいつよ19%
十六夜いざよい★90%とおむつや5%のちのつき5%
立待月たちまちづき★85%たちまてづき6%たてまつづき8%
隈無しくまなし★88%すみなし8%つきなし3%
二夜の月にやのつき30%によのつき14%ふたよのつき★56%

この週は「月」。十五夜、つまり旧暦で8月15日が、今年の9月8日にあたることからです。しかも今年は十五夜が38年ぶりに早い日付ということがニュースになっていましたし、9月9日の満月は地球から見た月が通常より大きく見える「スーパームーン」であることも話題になっていました。

さて「三五夜」の解説で「十五夜、つまり中秋の名月のこと。九九の3×5から。この用法は万葉集などにもみられる」と書きましたが、読者から万葉集のどの歌かという問い合わせがありました。万葉集巻2・196の柿本人麻呂による長歌の中ほどに「三五月之 益目頰染(三五月のいやめづらしみ)」とあります。実は万葉集では「さんごや」ではなく「もちづき」と読ませています。別に「三五夜(さんごや)」と読む例としては能「羽衣」にありますし、白居易(白楽天)の「八月十五日、禁中に独直して月に対して元九を憶う」という漢詩の一節「三五夜中 新月の色」も知られているようです。それらを出す方が素直だったかもしれませんが、万葉集の時代に九九が既に歌に詠まれるほど用いられていたということが面白かったので、あえて例に出しました。だから「この読みは」ではなく「この用法は」とぼやかしたつもりです。

「十六夜」「立待月」は予想よりよく読めています。以後、月の欠けるとともに「居待月」、「寝待月」または「臥待(ふしまち)月」、「更待月」などと情緒豊かな語が続きます。面白いことに、満月になるまでは「三日月」「十三夜月」など数字の付いた月の呼び名が多いのですが、それを越えると月の出を「待つ」様子から来る異称が多くなります。昔は夜の闇が深く、月光をそれだけ待ち望んでいたということでしょう。なお、新聞の送り仮名原則では「立ち待ち月」となるべきところですが、季語としては普通送り仮名を省いていますのでそのまま出題しました。

「隈無し」の「隈」はいま「目の下にくまができた」など一般語としては平仮名で表記されることが多いのですが、大隈重信など固有名詞ではよく出てきます。校閲として注意しなければならないのは「隈」と「隅」がよく間違われることです。手書きの時代ならともかく今も多いのはなぜでしょう。一つには、変換候補に「くま」と打って「隅」が出るものがあることが考えられます。どうも固有名詞には「隅」で「くま」と読ませるものがあるらしいのです。しかしだからといって「くま=隅」が登録されているのは間違いのもと。もっとも、単純に思い違いや見間違いによるミスも少なくないでしょうから、パソコンの変換のせいにばかりはできませんけれど。

「二夜の月」が今回最も低い正解率です。この季語は毎日新聞「季語刻々」で紹介された「世の人に忘れられけり後(のち)の月」(正岡子規)の解説で知りました。後の月とは旧暦9月13日つまり「十三夜」のこと。「中秋の名月(十五夜)とを楽しむことを『二夜(ふたよ)の月』と言い、古来めでたいこととしてきた。でも、後の月はとかく忘れられがちだというのが子規の句」ということです。樋口一葉の「十三夜」でも「旧弊なれど」というせりふがあります。 しかし、今年の東京のように中秋の名月が雨で見られなかった地方では、10月6日の十三夜にはせめて古来の風習通り、後の月をめでたいものです。

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