漢字クイズ(テーマ・戦)結果

6月23~27日の回答割合は次の通り(★が正解)。
斯くあざむく47%いななく7%かく★46%
会稽の恥えけいのはじ19%かいけいのはじ★61%かいこうのはじ19%
鎧袖一触がいしゅういっしょく★82%きんてきいっしょく4%とうゆういっしょく14%
衛戍えいぼ48%えいじゅ★41%えいじゅう11%
軍靴ぐんか★86%ぐんかく5%ぐんぐつ9%

by 吉田有岐
この週は6月23日の沖縄慰霊の日に合わせ「戦」がテーマでした。サッカー・ワールドカップの戦いも多少意識しました。

最も正解率が低かったのは「衛戍」でした。読みも難しいのですが、似た漢字と間違えやすいという警鐘を含んだ問題です。「衛戌病院」「衛戎病院」とよく誤ってしまうのです。「戍」は「人」と「戈(ほこ)」を組み合わせた字で「武器を持って守る」ことを表します(円満字二郎「部首ときあかし辞典」研究社)。

次に難しかったのは「斯く」。正解よりも高くなった「あざむく」は「欺く」と書きます。似ているので欺かれた人が多かったようです。でも「斯く戦えり」で出題するともっと正解率が高くなったにちがいありません。大田実海軍中将の「沖縄県民斯ク戦エリ」の電報を知らなくても、たとえば「ザックジャパンかく戦えり」などの文言はよく見かけますから。なお、大田中将はこの電報を打った時は少将でしたが、死後中将になっています。

ところで「一敗地にまみれる」という言葉が今は軽く単に「手痛い1敗」の意味で用いられることもありますが、本来の意味は、二度と復活できないほどの大敗で、戦死者の肝臓や脳まで泥まみれになるという悲惨な状況といいます。沖縄戦は比喩ではなくまさにそうだったのでしょう。

「会稽の恥」は中国の地名から。この慣用句はそれほど有名ではないかもしれませんが「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」の言葉を生んだエピソードの一つと知れば、学んだこととつながるのではないでしょうか。念のため説明しましょう。春秋時代、呉王の夫差は殺された父の無念を忘れないため、薪の中に寝て(臥薪)、3年後に会稽山で敵の越王・勾践を破った。「会稽の恥」を受けた勾践は、その悔しさを忘れず苦い肝をなめ(嘗胆)十数年後、夫差を攻め滅ぼした――という「史記」などの故事からです。サッカー日本代表の場合、「一敗地にまみれる」という思いはしても、実際の戦死ではありません。敗戦の悔しさを臥薪嘗胆として、雪辱してほしいですね。

「鎧袖一触」もいかにも中国の故事に基づく言葉のようですが、意外にも江戸時代の頼山陽「日本外史」が出典のようです。平清盛などよろいの袖に触れただけでひとたまりがない、という意味の源為朝のせりふで出てきます。

最も読めたのは「軍靴」でした。戦争の気配を比喩で「軍靴の響き」と表現しますが、年長者にはやや陳腐な表現になった一方、若い人には「ぐんか」というと「軍歌」と間違えられそうかもしれません。

集団的自衛権容認で戦争に巻き込まれる危険は増えたはずですが、それを伝える言葉が手あかにまみれたものでは、おそらく若い世代にひしひしと伝わりません。「集団的自衛権」にしてもよく分かりにくい言葉で、「個別的自衛権」と対置させると何だか「個別的」の方が自分勝手なイメージを与えてしまうのではないでしょうか。「集団的自衛権」を「他衛権」と置き換えると何となく本質が見えてくるような気がします。ただ「自衛隊」は「他衛隊」と改称しなければなりませんね……。

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