サッカー・ワールドカップ(W杯)ブラジル大会が閉幕しました。南米開催で初の欧州勢の優勝、ドイツ代表FWクローゼの個人最多得点記録更新、コロンビアの新星ロドリゲスの活躍、そして日本代表の残念な結果──と、今回も話題に事欠かない大会となりましたが、個人的には地元ブラジルのエース、ネイマールの負傷、欠場でしょうか。ネイマールを擁するブラジルと、ドイツの準決勝を見てみたかった……。

さて、ネイマールの負傷退場に絡んで、というわけではありませんが、今大会気付いたことの一つが、テレビでは「アディショナルタイム」の使用を徹底している、ということです。選手の交代や負傷などによって費やされた時間を、前後半や延長の、それぞれの最後に補うことで、一般的には「ロスタイム」として知られています。最近のW杯に限らず、サッカーのテレビ中継では「アディショナルタイム」が随分増えたように思います。新聞の表記は「ロスタイム」が多数派ということもあり、格別に印象に残ったのかもしれません。しかし、ネットなどでもこの不一致を嘆く声は多いようです。

「アディショナルタイム」と「ロスタイム」──日本サッカー協会に聞いてみますと、協会では2010年7月のJリーグの試合から「アディショナルタイム」に統一するようにし、「国際サッカー連盟の呼称に合わせた」とのことです。これまでは、世間での認知度や、メディアの使用状況も考えて、協会も「何となく」ロスタイムを使ってきたということです。新聞は今でも「ロスタイム」を使い続けています。

やはりと言うべきでしょうか、「和製英語事典」(丸善出版)によると、ロスタイムは「『loss of time』(時間の損失)の『of』が抜けている、または『lost time』(失われた時間)の間違いだと思われ」てしまい、ネーティブにはほとんど通じない、とあります。さらに、「up and down」の「and」を抜いて「アップダウン」、「after-sales-service」の「sales」を抜いて「アフターサービス」といった具合に、3語のうちの真ん中の言葉を抜いてしまうのが和製英語の特徴の一つ、とも書いてありました。

人の往来も含めて、サッカーのグローバル化が進んだ今、新聞もロスタイムをやめてアディショナルタイムとすべきなのか……そんなことを考えながら過去の記事を眺めていると、職場の大先輩が1994年に「『ロスタイム』やめませんか」というコラムを書いていました。日本でJリーグが始まってから1年たったぐらいです。先輩は「プロになった選手たちに、無駄な時間(=ロスタイム)に『死んだ気で頑張れ』では酷」「『ボーナスタイム』なんてプロらしくていい」と書いていました。なるほど、ボーナスタイムは妙案です。世界のトップ集団入りを目指すサッカー日本代表と共に、新聞もこの際「国際標準」への脱皮を図れないものでしょうか。みなさんはどう思いますか?

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