漢字クイズ(テーマ・泣く)結果

7月7~11日の回答割合は次の通り(★が正解)。
洒ぐあおぐ19%そそぐ★57%ひしぐ23%
号ぶおたけぶ36%くちずさぶ14%さけぶ★50%
咽ぶしのぶ2%すさぶ2%むせぶ★96%
馬謖ばしょく★83%ばぞく3%ばり13%
滂沱ぼうた3%ぼうだ★92%ぽた5%

この週は「泣く」。お分かりだと思いますが「号泣県議」が契機です。

いやー日本全国笑かしてもらいました。芸人真っ青でしたね。いや、本当は笑いごとではないのですが。

同僚からは「初めて正しい『号泣』の使われ方に出合った」という冗談が飛び出しました。というのは、本来号泣とは「大声を出して泣くこと」なのに、最近は声とは関係なく単に激しく泣く意味で使われることがほとんどになっている実態があるからです。

2012年の文化庁「国語に関する世論調査」によると、本来の「大声を上げて泣く」が34%、「激しく泣く」が48%と、意味を拡大させている人の方が多いという数字が出ています。

文化庁のサイト「言葉のQ&A」ではこの結果を踏まえた上で次のように分析しています。「このように『号泣』の意味するところの範囲が拡大して用いられるようになったのは、週刊誌やテレビ番組などが、誰かの激しく泣く様子を、声の有無にかかわらず、『号泣』と表現し始め、それが、次第に、一般にも広がっていったのではないかと思われます。激しく泣いたり、大泣きしたりすることを表すのに、ふさわしい熟語がほかにないことなども関係しているのかもしれません」

たしかに2文字の熟語で、それも常用漢字など分かりやすい字で似た言葉を探すと「感涙」くらいしか思いつきません。それではインパクトが足りないと思う雑誌やテレビの担当者が「号泣」の語につい頼ってしまうのでしょう。

それに加え「号」の字が「さけぶ」ことだと意識されないことも「号泣」の受け取り方が変質している理由と思います。今回「号ぶ=さけぶ」の正解率が半分にとどまったことからもそれがうかがえます。

この実態をふまえ、今年発行の「三省堂国語辞典」第7版では「号泣」に〔俗〕として「大いになみだを流すこと」という意味が加わりました。編集委員の飯間浩明さんによると、毎日新聞連載の漫画「毎日かあさん」に「声を止めて号泣」とあったのが証拠の一つだそうです。うーん、毎日新聞が用例を与えてしまっていたとは。

泣くというと50歳の出題者がすぐ連想する漫画は「巨人の星」です。「『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ」というたいへん長いタイトルの本(講談社文庫)によると、この漫画で泣きの回数は123回だそうです。うち星飛雄馬が42回。筆者の堀井憲一郎さんは数えるだけではなく、泣き方や、その場面などを一覧表にしています。暇な、いえ失礼、まめな方です。

実によく泣く星飛雄馬ですが、この表の「涙の種類」に「号泣」とあるのは意外にも1カ所だけ。あとは「悔し泣き」「悲し泣き」「感動」などと分類されています。そういえば確かに彼はよく涙を流しますが、わんわん大声を上げて泣くシーンはあまり記憶にありません。「号泣」と記されたのは恋人美奈さんの死のシーンで、確かに絶叫していました。しかし人前ではなく山の中で木に頭を打ちつけつつ泣くのです。どんなに取り乱しても男は人前で号泣するものではないという美学がうかがえます。

人前で、というより全世界に号泣する姿をさらしてしまった議員は、だからとても珍奇な例として人々の記憶に残るでしょう。ああ、あんまり号泣について書くことが多すぎて他の漢字について書く余裕がなくなりました。すみません(涙)。

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