漢字クイズ(テーマ・国名の当て字)結果

6月9~13日の回答割合は次の通り(★が正解)。
伯剌西爾パラグアイ13%ハンガリー22%ブラジル★65%
瑞西スイス★67%スウェーデン11%スペイン22%
希臘キプロス31%ギリシャ★57%キルギス12%
墨西哥ボスニア34%ポルトガル18%メキシコ★49%
濠太剌利オーストリア28%オーストラリア★51%コートジボワール21%

この週は「国名の当て字」がテーマでした。サッカー・ワールドカップ開幕に合わせ、すべてその出場国です。ただし、これらの漢字表記は今の新聞には全くと言っていいほど登場しませんので、分からなくても一向に気にすることはありません。

しかし、略称としては漢字の国名が毎日新聞など各紙では今も盛んに使われていることはご存じの通りです。米、英、仏、独、豪、加、印、比……そして露。ちなみに今ウクライナとの関係で盛んに報道されるロシアはメディアによって「露」「ロ」と対応が分かれていますが、毎日新聞では「露」です。その表記になじんでいるせいでしょうが、他紙で「米ロ」などの見出しを見ると「口(くち)」に見えて仕方がありません。

それはともかく、前述の漢字ならばそれぞれアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダ、インド、フィリピンのことだとは分かりそうですが、伯、墨、西あたりだとどうでしょう。たとえば見出しに「日西」と書いて、すぐ日本とスペインのことだと分かってくれるでしょうか。「米西戦争」は学校の歴史の時間に習うかもしれませんが、やはり難しいでしょう。

「墨」もしかり。今回「墨西哥」が最も低い正解率となったことでも分かるように、漢字だけではメキシコのことだと理解できない人が多いと思われます。「伯」が思ったより高率なのは、今回のブラジル大会の影響でしょうか。それとも写真に示したようにまだ意外に「伯剌西爾」表記が残っているせいでしょうか。「瑞西」が最も読めていますが、同じスイスを「瑞士」とする表記もあります。また1字で「瑞」と略すとスウェーデン(瑞典)の略かどうか分からなくなります。

この悩みは現代人だけではありません。福沢諭吉の「世界国尽」(1869=明治2=年)の「凡例」にこうあります。「古来、翻訳者の思々に色々の文字を用ひ、同じ土地にても二も三も其名あるに似たり。又或は、唐人の翻訳書を見て其訳字を真似したるもあり。これは唐(から)の文字の唐音(とういん)を以て西洋の字音(もじ)に当(あて)たるゆへ、唐音に明るき学者達には分るべけれども、我々共には少しも分らず」。そこで同書では「日本人に分り易き文字」を用いています。メキシコは「女喜志古」、ブラジルは「武良尻」などと、確かに分かりやすいのですが、定着しませんでした。

ところで同書で「新地伊蘭土」とあるのはどこのことか分かりますか。そう、ニュージーランド。この表記も結局広がりませんでしたが、100年以上たって漢字略称の公募の話があったことを最近出た「漢字に託した『日本の心』」(笹原宏之、NHK出版新書)で知りました。1980年にニュージーランド大使館が新聞紙面を通して募集、「乳」が1位になったのですが、「ニュージーランド本国から横やりが入った。これでは乳製品のイメージがついてしまうが、貿易を増やしたいのは肉製品だ」。ということで「乳首相」などという新聞の見出しは日の目を見ることなく終わったそうです。

同様に考えてみればメキシコを「女喜志古」というのも略称を使うと「女大統領」となってしまいます。これでは定着しなかったのも無理ありません。現在使われない国名の漢字というのは、全く実用の役に立ちませんが、雑談のねたにはなりますね。

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