漢字クイズ(テーマ・新職場の激励)結果

4月21~25日の回答割合は次の通り(★が正解)。
初登庁しょとちょう1%はつとうちょう★69%はつとちょう30%
孜々さくさく18%しし★53%もくもく29%
人品骨柄じんぴんこつがら★56%じんぴんこっぺい39%じんぴんほねがら5%
身を粉にするみをこなにする8%みをこにする★92%みをふんにする0%
下問かもん★80%げもん16%さげどい4%

この週は「新職場の激励」というテーマでした。

最も難しかったのは「孜々」。とはいえ半数以上の正解率なので、回答者のレベルの高さを感じました。この語は出題者自身よく知らなかったのですが、用例を調べてこのテーマにぴったりだと思いました。出題時の解説でも紹介した、ロンドン留学中の夏目漱石の1901年の日記です。ここでは岩波文庫の「漱石日記」から引用します。

《三月二十一日 (前略)未来は如何あるべきか。自ら得意になる勿れ。自ら棄る勿れ。黙々として牛の如くせよ。孜々として鶏の如くせよ。内を虚にして大呼する勿れ。真面目に考えよ。誠実に語れ。摯実に行え。汝の現今に播く種は、やがて汝の収むべき未来になって現わるべし》

いかがでしょう。日記ですよ、これ。でもたとえ他人にむけた文章だとしても、今日これだけ力のこもった激励の言葉を述べられる人がどれだけいるでしょう。漢語が多い言葉の力強さもさることながら、神経を削るほどに日本の未来を考えていた明治という時代の精神が短い文言からはじけだすようです。

次に正解率が低かったのは「人品骨柄」。漢字そのものは易しいのですが、「人品骨柄卑しからぬ」という使い方が場合によってはちょっと差別的なニュアンスを帯びるためか、昔よりは出なくなっています。

「初登庁」は引っかけ問題。登は当たり前に読めば「とう」ですが「登山」は「と」、「登頂」は「とうちょう」とも「とちょう」とも読みます。この場合も「と」ではないかという引っかけです。でもだまされた人はさほどいなかったようです。

「下問」の出題時には論語の「下問を恥じず」という言葉を紹介しました。岩波文庫から引用します。ある人がどうして「文」というおくり名なのかという問いへの答えです。

《子の曰(のたま)わく、敏にして学を好み、下問を恥じず、是(ここ)を以てこれを文と謂うなり。(先生はいわれた、「利発なうえに学問好きで、目下のものに問うことも恥じなかった。だから文というのだよ」)》

「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥」とはよく言われますが、長ずるにつれ、若い人にばかにされるのではという妙なプライドのため、素直に聞くことをためらうことが多くなるのではないでしょうか。そんなときにこの格言が利きます。

今回最も正解率が高かったのが「身を粉にする」でした。「こな」ではないということがポイントですが、このクイズ回答者にとってはほとんど引っかけ問題にならなかったようです。ただ、結果はだいたい予想できました。易しすぎるかも、と思ったときは解説でなるべく役に立つミニ知識を入れるようにしています。この時は「粉」がおしろいを示したということ。ですから「ふんしょく」の字が「粉飾」か「紛飾」か迷ったら、化粧で覆い隠すことだから「粉」だと思い出せば間違えることはありません。

さて、もうすぐ連休が明け、職場の新人たちも研修期間を終え新戦力の一員として働き始めることでしょう。漱石の言葉をもう一度贈ります。「汝の現今に播く種は、やがて汝の収むべき未来になって現わるべし」

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