漢字クイズ(テーマ・燕)結果

5月12~16日の回答割合は次の通り(★が正解)。
燕太郎えんたろう★50%つばたろう32%つばめたろう18%
梁の燕うつばりのつばめ★36%のきばのつばめ36%りょうのつばめ28%
玄鳥くろどり29%くろうどり35%げんちょう★37%
燕岳えんがく21%つばだけ9%つばくろだけ★69%
燕子花えんじか13%あやめばな12%かきつばた★75%

この週は愛鳥週間であることから「燕」をテーマにしました。

無数にいる鳥類のなかでもツバメは、間近で子育て中の巣を見ることができるほとんど唯一の鳥ではないでしょうか。しかし都会や新興住宅地でツバメを目にすることは少なくなっています。いつだったか、バス停の屋根の下の巣にせっせと餌を運ぶツバメの姿を久しぶりに見つけて感動しました。そうそう、ひなは親鳥が飛んで来たら顔中口だけ巣の中口だらけにしてねだるんだよなあ。小学生のとき、ツバメの子育てを自由研究にしたっけ。そこでわかったのは、ひなたちは必ずしも平等に餌が与えられるわけではないということ。昔の地方でさえそうでしたから、もっと餌が減った今の都会での生存競争はより厳しいのでしょう。先日も、都心のツバメは近郊より巣立つひなが1匹程度少ないという調査結果がニュースになりました。

前置きが長くなりました。今回最も正解率が低かったのは「梁の燕」でしたが、この語は広辞苑、大辞泉にも載っていない(大辞林にはある)ので無理からぬところでしょう。 「うつばり」は「内張」の意ということですが、この古語も今ではまず使われません。かえって「つばめ」の古語「つばくろ」の方が知られているでしょう。これは長野県の「燕岳」に生きています。

古い用例を探せば幾層にも重なった別の読みが見つかってしまうのが、日本語の難しいところです。「つばくろ」は「つばくら」の変化した形。「つばくら」はまた「つばくらめ」にもなり「玄鳥」の解説で紹介した斎藤茂吉の有名な短歌に使われています。「のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり」

ここで「玄鳥」と「屋梁」と「母」を並べたのは、もしかしたら「梁の燕」の語が茂吉の頭にあったからではないでしょうか。そうでないとしても、ひっきりなしに餌を運ぶツバメの姿からは、いや応なしに母親の子育ての偉大さを思わずにいられません。その母の死に際し、茂吉は感謝の気持ちをツバメに託して詠み込んだのではないでしょうか。

「つばくろ」はヤクルトスワローズのマスコット「つば九郎」にも生かされていますね。今年20歳の成鳥になり、記念の本まで出しています。その一方で弟分の「燕太郎」は引退しました。つば九郎ほど人気が持続しなかったとすれば名前の読みにくさが一因かもしれません。

「燕子花」は「杜若」とも書きます。実は「杜若」は一昨年に出題済みで、正解率82%でした。この花の語源の一つに、花の形がツバメの伸びたつのに似ていることからという説があるのですが、牧野富太郎らにより否定され、「ふつう『燕子花・杜若』と書くが、漢名としてはいずれも誤用」と日本国語大辞典にあります。ただ、目立つ時期はかぶりますから、全く関係ないともいえません。ともに美しい初夏の風物詩です。


最近の「読めますか?」


校閲グループのお薦め本
「毎日ことば」のアカウント 
「毎日ことば」トップページへ
最近の記事
 
Top