毎日新聞用語集・通称「赤本」には、旅客機名の書き方を記したページがある。

那覇空港へ着陸寸前に海面に異常接近したり、機長が不足して大量に欠航したりした格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションは「ピーチ機」、南シナ海上空で突然消息を絶ったマレーシア航空は「マレーシア機」というように、「○○機」というふうに書く。その他に、見出しなどでローマ字の略称を使う際は、国際民間航空機関(ICAO)が定めたローマ字3文字か、国際航空運送協会(IATA)が定めた同2文字の「略号」を使う。

ある日、「ミャンマー国際航空:関空―ヤンゴン定期便、今秋から」という原稿の初校で、ミャンマー国際航空の略称にMAIを用いていたのに違和感を覚えた。なぜなら、原則にのっとると、ミャンマー国際航空の略称は、ICAOのMMAか、IATAの8Mとなるからだ。

過去の毎日新聞の紙面を調べてみると、全日本空輸はANA、日本航空はJALが圧倒的に多いし、海外の航空会社ではルフトハンザドイツ航空のLH、英国航空(ブリティッシュ・エアウェイズ)のBAも見かけた。いずれも原則通りの「略号」を使っている。しかし、冒頭のマレーシア航空をMAS ないしMHと記したら読者は読みにくく感じる。私の住む関西ではLCCの記事をよく目にするが、ピーチ・アビエーションにAPJ/MM、ジェットスター・ジャパンにJJP/GKなんて使ったら混乱してしまうだろう。

結論を言うと、くだんの記事ではMAIのままになった。「略号」を使用するという原則はあっても、やはりMyanmar Airways Internationalの頭文字をとった「MAI」のほうが「MMA」や「8M」よりは少し分かりやすいだろう。乗り物オタクの私としては、航空券にも表示されているIATAの「略号」くらいは使ってほしいなと、今も心に引っかかってはいるのだが、「読者目線」を心掛けるならば、必ずしもしゃくし定規に用語の原則に従わないほうが良い時もあるのだ。
【大野境子】

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