漢字クイズ(テーマ・値上げ)結果

3月31日~4月4日の回答割合は次の通り(★が正解)。
費えるかぞえる12%ついえる★82%つかえる6%
百貫のかたに「編み笠一蓋」あみがさいっかい★49%あみがさひとさら17%あみがさひとふた34%
見合った「価」あたい★64%うりね7%ねうち29%
金が敵かねがてき11%かねがかたき★68%きんがかたき21%
税倉いねぐら37%ぜいそう22%ちからぐら★42%

この週のテーマは「値上げ」でしたが、実は隠しテーマがあります。「異字同訓」です。

今年2月に文化庁から「『異字同訓』の漢字の使い分け例」という文書が発表され、インターネットで公表されました。たとえば「はる」に対し「張る」「貼る」のどちらの字をあてるのがいいかという、校閲にとって注目すべき内容です。

しかし、あくまでも常用漢字表の音訓に基づく使い分けとなっていますので、一方がそれに当てはまらない場合は記されません。たとえば「費える」と異字同訓の語に「潰える」がありますが、潰の字は常用漢字になったものの「ついえる」の訓は入らなかったので、両者の使い分けは示されませんでした。ただ「費える」に関しては分かりやすいし、そもそも使用頻度が大してないので困ることはないのですが。

その「費える」が今回最も正解率が高かったのですが、82%という数字は微妙です。「費やす」はよく使うのに対し「費える」は同じ「つい」の読みなのにあまり使われないことが表れている気がします。

「価=あたい」はもっと頻度が小さい読みではないでしょうか。これも常用漢字表に掲げられた読みですので、「値」との使い分けが示されているのですが、「値」が「値千金」などの形で頻出するのに対し「価」の「あたい」は使用例に出合った記憶がありません。1972年の使い分け例だと「価が高くて買えない」「商品に価を付ける」が挙げられていたのですが、今回の改定で「手間に見合った価を付ける」と例示は一つになりました。その例にしても、普通「見合った値段」といいますよね。知恵を絞って変えたはずの例もぴんとこないということで、結局この訓の使い勝手の悪さが明確になりました。

「金が敵」は「金」に「鐘」「鉦」、「敵」に「仇」の異字同訓があります。「仇」は常用漢字ではないので「かたき」といえば「敵」となるはずですが、「てき」という音の方がよく使われますので、仮名書きにすることも多いと思います。また「金」も「きん」と読まれるかもしれないと思うと「かねがかたき」と全部仮名にするか、ルビを付けるかしなければなりません。異字同訓も大変ですが、同字異訓(そんな言葉あるのかと思いましたが文化庁のホームページの議事録にありました)もなかなかやっかいです。

「百貫のかたに編み笠一蓋」の「笠」は異字同訓は「傘」。編み笠の場合は傘かどうかで迷うことはないのですが「キノコのかさ」「クラゲのかさ」あたりになると悩みます。まあ笠は常用漢字ではないので平仮名で書いておけば無難なのですが。それより、このことわざの難しさは笠の数え方がなじみのないことでしょう。蓋は2010年追加の常用漢字ですが、笠の数え方に「がい、かい」があるなんて出題するまで知りませんでした。

今回最も難しかったのは「税倉」でした。「倉」の異字同訓は「蔵」ですが、奇妙なことに72年にはあった使い分け例が今回ばっさり削除されてしまいました。昔の例は「倉敷料」とか「蔵払い」とか特殊な例でしたが「お蔵入り」など今でも使われる例に入れ替えればよかったのにと思います。「倉が建つ」は「倉」でしょうか。でも童謡の「こがねむしは金持ちだ」に続くのは「金蔵建てた蔵建てた」だっけ。こういう微妙な使い分けこそ示す意味があるのですが。

今回の異字同訓報告は全体的には注釈が増えるなどかなり頑張っているのですが、もう少し時間をかけて衆知を集めてもいいのではと思いました。これは常用漢字改定にもいえることで、国語政策に関しても、すぐ結果を求められるというあしき風潮が及んでいるのでしょうか。

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