漢字クイズ(テーマ・擬人名)結果

12月2~6日の回答割合は次の通り(★が正解)。
骨皮筋右衛門こっぴきんえもん2%ほねかわきんえもん2%ほねかわすじえもん★96%
吝太郎きょうたろう12%しわたろう★20%りんたろう68%
可内できない9%べくない★58%かみさん33%
石部金吉いしべかねきち28%いしべかねよし9%いしべきんきち★63%
小言幸兵衛こごとこうべえ★83%こごとさちべえ8%こごとゆきべえ10%

この週は「擬人名」。このテーマはいつかやりたいと以前から思っていたのですが、きっかけがなかなかありませんでした。そのきっかけを与えてくれたのが、毎日新聞夕刊「特集ワイド」の、今年の新語・流行語大賞ノミネートを受けた記事です。

ノミネート50語のうちコラムニストの小田嶋隆さんは、かなり怒っている状態を示す女子高生言葉「激おこぷんぷん丸」に注目しました。「これは『がってん承知の助』(『心得た』との意味の江戸っ子言葉)の子孫だと思うんですよ。こんなふうに言葉を人名風に変形させるのは江戸時代の頃から続いている伝統的な言葉遊びです。これは楽しいですね」

このコメントを読んだ瞬間、「擬人名キタ―!」と思いました。そして、流行語大賞は無理としても、トップ10入りを願っていましたが、大賞が四つも選ばれるほどの激戦の中ではじき飛ばされた結果となってしまいました。

さて、正解率が最も低かったのが「吝太郎」でした。吝嗇のリンと思って「りんたろう」を選んだ人が多かったようです。「吝ん坊の柿の種」ということわざを知っていれば分かったかもしれませんが、上方系のいろはかるたに用いられたこの言葉も、今は聞くことがまれになりました。(写真は時田昌瑞著、世界文化社「ことわざで遊ぶいろはかるた」と奥野かるた店の京のいろはかるたより)

「可内」は現在、京都・南座でかかっている「仮名手本忠臣蔵」の「道行旅路の嫁入」に「奴(やっこ)可内」という役名で出ています。

5語のうちの正解率が高めだった「骨皮筋右衛門」「石部金吉」「小言幸兵衛」はいずれも毎日新聞「週刊漢字」に掲載された語です。読者の方がブログで「消えゆく言葉」として紹介しています。

《「石部金吉」のような真面目すぎて融通の利かない人はいなくなり、不真面目で物分かりのいい人が多くなった。綱紀は緩みっぱなし、社会の混乱に拍車をかけている》

《「小言幸兵衛」のように口うるさくお節介な人もいなくなった。「小さな親切大きなお節介」の言葉が大手を振って通るようになっては、「小言幸兵衛」の出番はない。うっかり小言でも言おうものならナイフで刺されてしまう。怖い世の中になったものだ》

《「骨皮筋右衛門」だから寒さが骨にしみるのだが、肉布団をまとった現代人「骨肉とろ右衛門」では寒さが骨までとどかず肉で止まってしまうのだ。肉布団にはたくさんの病原菌が潜んでいるというのにだ》

 これらの語は、辞書では「あざけっていう」などと書かれているのですが、ここに記されているのはむしろ、現代人とは対極の今時奇特な人という、むしろ褒め言葉です。

池田弥三郎「日本故事物語」(角川文庫、1973年)によると、江戸時代には武士が幅をきかしたため、江戸の文芸作品では、田舎侍を極度に軽蔑したことから、武士風の擬人名で嘲笑したそうです。「現代の擬人的造語はどうだろう」「スカートの下からシュミーズがチラリと出ている女性を『清水みえ子さん』などというのが、せいぜいのところではなかろうか」

池田さん自身も述べていますが下品ですね。それに比べて21世紀に突如出現した擬人名「激おこぷんぷん丸」ははるかに洗練されています。女子高生言葉おそるべし。

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