漢字クイズ(テーマ・子供)結果

11月11~15日の回答割合は次の通り(★が正解)。
非嫡出子ひたくしゅつし1%ひちゃくしゅつし★91%ひてきしゅつじ8%
かすがい★68%かなづち14%まさかり18%
銀の匙ぎんのさじ★91%ぎんのすず2%しろがねのさじ7%
なみだ9%はな★68%べそ23%
童形どうぎょう★63%どうけい24%わらべかた13%

この週は七五三にちなみ「子供」がテーマでした。

この「子供」の表記について、文部科学省では従来「子ども」と記してきたのを改め、省内の公用文書や文部科学白書の表記を「子供」とするようにしたとのことです。

この問題は、以前からなぜか話題になってきました。「子ども」派は「供」はお供の供で大人に従属していることを表すのでよくないと言い、「子供」派は「ども」は「ガキども」のようにイメージの悪い複数形に使われるからダメ、そもそも漢字と平仮名の交ぜ書きは嫌だと言います。

しかし「子供」は当て字であり、お供の供の意味は元々ありません。また和語なので漢語を「し烈」と書くような交ぜ書きとは違います。交ぜ書きをかねて批判してきた中国文学者、高島俊男さんも自分が書くとき「ひらがなが多いと見た感じが親しみやすいので『子ども』を使うことが多いが、字の数を減らすために『子供』にするときもあります」と語っています(毎日新聞2004年10月14日)。

毎日新聞でも、特に縛りはありません。だってこどもを型にはめるって嫌ですから。それは冗談ですが、どうも「子供」「子ども」の表記論争は、互いに語感を述べ合うだけで、肝心のこどもの姿を見ていないように思えてなりません。

さて、今回は比較的正解率が高めのものが多かったのですが、最も読めたのは同率の「非嫡出子」「銀の匙」。当初「嫡出」を「てきしゅつ」と読むのは誤りという思いこみがあったのですが、辞書では認められていることを知り「てきしゅつし」の「し」を「じ」に変えたのを誤りとして出題しました。なお嫡の字は「正妻という意味」と漢和辞典で調べたことを解説に書こうとして「まてよ、正妻は正しい妻と書くけれど、では法律上の結婚をしていない相手は正しくない妻なのか」と思ってやめました。ましてや「正妻の子」「愛人の子」なんて区別するのは、今回問題になっている民法の相続規定以上に子の心に傷を負わせるような気がします。

「銀の匙」は最近アニメになった漫画「銀の匙 Silver Spoon」(荒川弘、小学館)とは関係なく、子供の世界を子供の視点で描いた中勘助の小説です。出題のきっかけは、灘中学・高校の元教師、橋本武さんが101歳で亡くなったという訃報記事。教科書を一切使わず「銀の匙」を中学の3年間かけてじっくり読み込むという画期的な授業で有名になった人で、「銀の匙」が連載開始されてちょうど100年後に亡くなったということに不思議な因縁を感じました。どんな授業だったかは「〈銀の匙〉の国語授業」(岩波ジュニア新書)に詳しいのですが、きっと生徒は世界がどんどん広がっていく知的興奮を味わったことでしょう。ちょうど学校嫌いだった「銀の匙」の主人公が「次から次へと知識は幾何級数的にすすんでいくのでしまいには自信もでき、興味も加わって」いったように。

最も難しかったのは「童形」。形をギョウと読むのがポイントです。「橋本式」の教え方ではどうなるでしょう。たとえば「他にギョウと読むのは?」「人形!」と答えさせてから、漢和辞典で他にも調べさせるとか。いや、そんな誰でも思いつく授業ではなく、もっとわくわくさせるアイデアを橋本さんは編み出すかもしれません。そのように、こどもが生き生きと自ら学ぶようにするための創意工夫について考えた方が、子供か子どもかなどという表記の問題にこだわるよりは、よほど国語力を伸ばすことになると思うのですが。

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