漢字クイズ(テーマ・貸し借り)結果

9月24~27日の回答割合は次の通り(★が正解)。
返戻金へんらいきん8%へんるいきん22%へんれいきん★71%
根抵当権こんていあてきん2%こんていとうけん41%ねていとうけん★57%
済すときの閻魔顔いなすときのえんまがお20%すますときのえんまがお40%なすときのえんまがお★40%
日歩にっぷ19%にっぽ29%ひぶ★52%

この週のテーマは「貸し借り」。お分かりだと思いますが、ドラマ「半沢直樹」を意識しました。

まず「返戻金」。「戻」の訓が「もどす・もどる」というのは誰でも知っていることでしょうが、音読みはそれほど知られていないのではないかと思い、出題しました。返戻金以外の音読み例といえば「暴戻」くらいしか思いつきませんが、これも一般的な語ではありませんね。円満字二郎「漢字ときあかし辞典」(研究社)によると、「本来は“人道に逆らうような行いをする”ことを表し」「この意味の場合に、昔は『人の道に戻(もと)る』のように『もとる』と訓読みすることがあり、“もどる”の意味はそこから生じたもの。間違ってテンテンをつけてしまったようにも思えるが、“ふつうのものに逆らう”という意味合いはきちんと受け継いでいる」。そうだったのか。安倍晋三さんが盛んに「取り戻す」と言っていたのは、「人道に逆らうような行い」のことじゃなければいいのですが。

「根抵当権」。返戻金もそうですが、この語は時々思い出したように新聞に出ます。しかし共に常用漢字表内の読みですので、読み仮名が振られることはほとんどありません。だから耳で聞かないと一生「こんていとうけん」(この答え41%)と思い込んでしまうかもしれません。

「日歩」も難問でした。出題時の解説で「日賦」に言及しましたが、この類義語は「日済(な)し」。「済」が返済の意味で使われています。しかし今ではその意味で使われることはなくなったといえるでしょう。「済し崩し」も元は「借金を少しずつ返していくこと」だったのですが、昨年末出た「集英社国語辞典」第3版では次の語釈が加わりました。「既成事実を積み重ね、物事をだめにすること」。言葉の意味が徐々に変わっていくのは避けられないことですが、せめて元の意味を考えると「無し崩し」という表記だけは通してはならないと、校閲として思いました。

「済すときの閻魔顔」は今回最も正解率が低くなりました。このことわざを見聞きする機会の少なさを表しているのでしょう。しかし、毎日新聞の読者からは次のはがきをいただきました。子供の頃、祖母と叔母の会話が聞こえたそうです。叔母「姉さんに立て替えたお金の催促をしたところ、投げるように返してきた」。その愚痴に祖母「借りる時のエビス顔返すときのエンマ顔と言うデヨー」。自分の娘たちが借金のことでギスギスするのを案じ、方言を交えユーモラスなことわざで和ませたわけですね。「庶民の言葉として、昔から伝わった知恵でしょうか、太平洋戦後十年ごろのことです」。こういうお便りを読むと、ことわざの温かさ、いえ、それを生かす人の温かさを感じます。

「倍返しだ!」と叫び土下座を強要するヒーローが喝采を博す時代ですが、こういう温かさはなくしてほしくありませんね。

最近の「読めますか?」


校閲グループのお薦め本
「毎日ことば」のアカウント 
「毎日ことば」トップページへ
最近の記事
 
Top