漢字クイズ(テーマ・運動)結果

10月15~18日の回答割合は次の通り(★が正解)。
牛蒡抜きいのこぬき5%ぎゅうほぬき1%ごぼうぬき★94%
投擲とうき4%とうてい16%とうてき★80%
雲梯うんか3%うんてい★95%くもはしご2%
膂力たんりょく21%でんりょく23%りょりょく★56%

この週は「体育の日」にちなみ「運動」がテーマでした。

毎日新聞では月曜日に「週刊漢字 読めますか?」を掲載していますが、14日の体育の日にTBSの情報番組「ひるおび!」で紹介されました。

「ひるおび!」で特に難しい字とされたのは「膂力」。事実、今回最も正解率が低くなりました。ただ、たとえ知らない漢字でも、つくりが「旅」であることに着目すれば「りょ」ではないかと推測できるはずです。なお、「使ってみたい武士の日本語」(野火迅、文春文庫)によると「膂力」は多くは「腕力」の意味で使われるとしたうえで「腕力にかぎらない全身の筋力を意味してもいる。藤沢周平が使い手の『胸の張り』や『腰の据わり』に注目しているように、時代小説における『膂力』は、全身にいきわたった筋力を指すことが多い」そうです。

次に正解率が低かったのは「投擲」ですが、80%ですから難しかったとはいえません。「擲」は訓読みで「なげうつ」。だから「投げうつ」と書くのは感心しません。「部首ときあかし辞典」(円満字二郎、研究社)によると、擲は「遠くへ投げる」「高く投げる」ことを指すといいます。ちょっとオリンピックの「より速く、より高く、より強く」を思わせます。

「雲梯」は「ひるおび!」で司会者が「くもはしご?」と言っていましたが、「雲梯子(くもばしご)」も同義語のようです。また「猿渡り」ともいう地方があるそうです。それが英語のmonkey barの訳としてなのか、偶然の一致で日本でも「猿渡り」というようになったのかは、判然としません。

「ひるおび!」では「牛蒡抜きは読める」と言われ話題になりませんでしたが、正解率もやはり高くなりました。新聞ではゴボウなど仮名書きされますが、生活になじんだ漢字といえるでしょう。しかし「ごぼう抜き」の意味となると一筋縄ではいきません。例えば「大辞林」第3版(三省堂、2006年)は「①(牛蒡を抜く時のように)棒状のものを一気に引き抜くこと②大勢の中から一人ずつ順々に引き抜くこと③競走で、数人を次々と追い抜くこと」と三つの意味が記されています。同じ三省堂の「新明解国語辞典」第6版(2005年)には「誤って、間を置かずに数人を追い抜く意にも用いられる」とあり、駅伝などでの使用例は誤用だと示しています。それが第7版(12年)では「俗に、マラソンや駅伝競技などで連続して数人を追い抜く意にも用いられる」となりました。誤用から俗用へ、一歩抜け出しています。

また「大勢の中から一人ずつ順々に引き抜くこと」の用例として各辞書に挙げられているのは「デモ隊をゴボウ抜きにする」など大衆運動華やかなりしころを思わせるものが多いようです。確かに座り込んだデモ隊を機動隊が排除するのはゴボウを引き抜くイメージにぴったりかもしれませんが、もっと今の時代に合った用例はないのでしょうか。ないのだとすると、この意味はもはやほぼ失われ、誤用・俗用とされていた駅伝などのごぼう抜きこそが普通の意味として市民権を得たとみなしていいと思うのですが……。

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