漢字クイズ(テーマ・選挙を終え)結果

7月29日~8月2日の回答割合は次の通り(★が正解)。

衆寡敵せずしゅうかかたきせず12%しゅうかてきせず★77%しゅもくてきせず11%
北叟ほくい8%ほくおう3%ほくそう★89%
有卦に入るうかつにはいる5%うけにいる★71%うけにはいる24%
好事魔多しこうじまおおし★65%こうずまおおし34%すいじまおおし1%
敢え無いあえない★85%さえない9%たとえない6%

この週は「選挙を終え」というテーマでした。

衆院選後の2009年9月にも選挙にからんだ語を取り上げたのですが、その一つに「順風満帆」がありました。解説で「帆に追い風を受けて、船が快調に進むことから、物事が順調に進む意味に。民主党は追い風を受けたが、近く発足する政権が順風満帆かはこれからのかじ取り次第だ」と記しましたが、わずか4年で今昔の感です。

しかし衆参両院で野党が「衆寡敵せず」の状況に追い込まれ、「有卦に入る」ようにみえる安倍政権だっていつまでも「北叟」笑んでなどいられません。「好事魔多し」、思わぬところから邪魔が入り、「敢え無い」末路をたどらないとも限りません。……などという関連づけで漢字を出題したところ早速、副総理のナチス発言が飛び出しました。

その「好事魔多し」が、今回最も正解率が低かったのですが、それでも65%ですから、全体的には読みやすかったといえるでしょう。「好事魔多し」は素直に読めば正解できるのですが、「こうずまおおし」を選んだ人は「好事家」との混同があると思われます。実は、出題者もかつてどっちがどっちか覚えていませんでした。

「北叟」が最も数字が高かったのはやや意外でした。同じ意味の「塞翁」に比べて決して有名でない言葉のはずですが、叟は「2艘の舟」などの「艘」と同じ読みなので連想が働きやすいのでしょうか。

「有卦に入る」は「はいる」と読む人が4人に1人と少なくありませんでした。「……に入る」を「……にいる」と読ませる慣用句は「鬼籍に入る」「神(しん)に入る」「郷に入っては郷に従え」など結構あります。

「衆寡敵せず」について調べていて明治の文筆家、斎藤緑雨の「筆は一本也、箸は二本也。衆寡敵せずと知るべし」という警句を知りました。筆一本では生活できないという意味でしょうが、筆つまり言論は箸つまり生活にかなわない、とも解釈できます。なるほど、好調が伝えられる景気、アベノミクスが票に結びつき、その他の諸問題の論戦をかわされた今回の参院選は、田原総一朗さんが「マスコミの敗北」と言うように、筆が箸にかなわなかったということなのかもしれません。

しかし、第2次安倍政権が発足してまだ半年余りにすぎず、実績を論議するには時期尚早ではないでしょうか。いささか強引ですが「竹取物語」における右大臣、阿部御主人(あべのみうし)のエピソードを思い出しました。かぐや姫への贈り物「火鼠(ひねずみ)の皮衣(かわぎぬ)」の偽物を悪徳商人にだまされて買い、不燃のはずがめらめらと焼け「世の人々」に徹底的に笑い物にされる結果に終わります。そこで出るのが「敢え無し」と「あへなし=阿部なし」を結びつける説。正しい語源ではなく単なるしゃれのようですが、アベノミクスも「皮算用」が語られるだけで実績が乏しいと、世の人々の期待もあえなく煙となってしまいます。

それにしても、権力者を言葉によって笑い飛ばす庶民の精神は竹取物語の昔からあったようですね。最近その精神が衰えて、批判の対象が妙な方向に向かっていないか、気にならないでもありません。

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