漢字クイズ(テーマ・富士山)結果

5月20~24日の回答割合は次の通り(★が正解)。
富岳とみだけ4%ふうがく3%ふがく★93%
富士額ふじがく9%ふじぬか7%ふじびたい★83%
御来迎ごらいげい7%ごらいこう66%ごらいごう★27%
愛鷹山あいたかやま17%あしたかやま★65%えだかやま18%
精進湖しょうじこ★60%しょうじんこ38%せいしんこ3%

この週は「富士山」がテーマでした。もちろん、世界文化遺産への登録がほぼ確実になったとのニュースを受けたものです。

「富岳」は実は、2009年に「富嶽」として出題したものとほぼ同じです。ただそのときトラブルのため正解率のデータが得られなかったので、字体を変えて出題し直しました。

「岳」「嶽」は元々同じ字なのに別の字のように扱われていますが、「富」「冨」の字体差は微妙な位置です。ワ冠の冨は富の異体字(俗字)の関係にあり、別の字ではありません。毎日新聞では原則として異体字は使わないようにはしていますが、「冨」については固有名詞限定である程度認められています。とはいえ、原則はあくまで常用漢字の字体である「富」なのですが、使い分けなければ間違いだと誤解する向きがあります。以前、ある人名で「富」は「冨」の誤りでしたという訂正記事が毎日新聞に載った時には絶句しました。誤字ではないのですから訂正を出すことはなかったはずです。

「御来迎」が最も低い27%でした。「ごらいこう」が「ごらいごう」の倍以上という数字からは、「ご来光」との紛らわしさが意味だけでなく読みにも及んでいるということが見て取れます。解説では「高山で朝日を拝む『ご来光』と同じ意味とする辞書もある」と控えめに記しましたが、「……辞書がほとんど」といってもいいほど、「御来迎」の意味として「御来光」を併記する辞書は多いのです。しかし、意味の混用はあっても、読みについては「御来迎=ごらいごう」が正しいと思って出題したのですが、実は「『ごらいこう』とも」となっている日本国語大辞典などの記述を見落としてしまいました。ただし「言泉」が「古くは『ごらいこう』」とするように、現代では「ごらいごう」と読むのが適切と思われます。漢和辞典でも「迎」の音読みは「ゲイ」「ゴウ」となっていて「コウ」はありません。

次に「精進湖」。なぜ「しょうじん」でないのか説明した資料がみつからなかったため、山梨県の富士河口湖町役場に電話で問い合わせました。生涯学習課の方が答えてくださいました。精進湖の名の由来は、参詣者がそこで精進潔斎したことという説のほかに、「しょう(背負う)地」からという説もある、と。なるほど、そこから「しょうじ」になったとすると「ん」を読まない理由が納得できますね。本当のところは分からないそうですが。

「愛鷹山」の解説では「一富士二鷹三なすび」の語源説に触れました。ナスの初物の値段を含め「駿河で高いものを並べた」という説がありますが、「岩波ことわざ辞典」(時田昌瑞著)によると、裏付ける絵画資料は見当たらず、「推論の域を出ていない」とします。やはり夢に見ると縁起のよいものを挙げたという説の方が有力のようです。

正解率の高かった「富士額」ですが、どういう形なのかはご存じでしょうか。国語辞典では「額の髪の生え際が富士山の形に似た」などの語釈になっているのですが、これは八の字ということなのか。妻にいわせれば「中心が逆さ富士の形の、マクドナルドのマークに似た形」だというのですが、その意味は辞書では見当たりません。ネットで検索すると、単におでこを広く見せている女性を富士額といっているものが多い気もします。一方、花嫁のかつらや歌舞伎女形の写真をみると、中心が逆さ富士の形。こちらが正しい富士額だとすると、ぜひ辞書の記述を改めるとともに、挿絵で一目瞭然にしてほしいと思いました。

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