漢字クイズ(テーマ・早春)結果

2月18~22日の回答割合は次の通り(★が正解)。

獺魚を祭る かわうそうおをまつる★ 60% らいぎょをまつる 28% らっこをまつる 12%
料峭 りょうげ 12% りょうしゅん 12% りょうしょう★ 76%
余寒 あまりさむ 3% よかん★ 72% よさむ 25%
角ぐむ かどぐむ 16% すみぐむ 14% つのぐむ★ 70%
野梅 のうめ 32% のばい 31% やばい★ 37%

この週のテーマは「早春」でした。

早春といえば「春は名のみの風の寒さや」で始まる大正時代からの唱歌「早春賦」が真っ先に連想されます。と思いきや、若い人数人に聞くと「学校で教わっていない」と言われました。嘆かわしいと思いましたが、そういえば出題者もNHK「みんなの歌」で繰り返しやっていたから覚えているのであって、学校の音楽で教わった記憶がありません。

さて「早春賦」の歌詞から「角ぐむ」を出題しましたが、ほぼ死語と思っていた割に正解率は高めでした。ところでなぜ水仙とかでなくて「葦(あし)は角ぐむ」なのか。どうやら「古事記」に関係しているらしいのです。最初のところ、イザナギとイザナミが国づくりをする前に生まれた神は「葦牙(あしかび)のごと萌(も)え騰(あが)る物に因りて成」ったとされます。「葦牙」は「葦の芽。十分に春になったこと」ということです。この牙が角になって「角ぐむ」と葦がセットで伝えられてきたようなのです。日本語の歴史の重みを感じる言葉なので、死語にせず伝えていきたいと思います。

「余寒」は高い正解率となりました。「よさむ」に引っかかる人がもっといると思っていましたが……。

「獺魚を祭る」は「獺」で切れます。これは七十二候の一つなのですが、中国でのオリジナルの七十二候であり、日本でアレンジされたものにはありません。ちなみに漢語の「獺祭」は以前出題したのですが、45%でした。

「料峭」はたとえ見たことがない字だとしても、「肖」のつくりから読みの類推はできた人が多かったのではないでしょうか。

最も低かったのは「野梅」。俗語の「やばい」とは何の関係もありません。ではその「やばい」はどこからきたのか。「明治東京風俗語事典」(正岡容、ちくま学芸文庫)には「犯人が警察の探査がきびしく身辺が危いこと」とありますが、語源にはふれられていません。辞書には「『やば』の形容詞化。もと、盗人・香具師(やし)などの隠語」とあり、「やば」は「具合の悪いさま」(大辞林)などと書かれているのですが、それがどこからきたのか判然としません。語源辞典では一説に「厄場」からとしています。

それはともかく、近年話題になるのは「やばい」が若者によって「やっべ、うま」など褒め言葉として使われることです。辞書にも「広く感動詞的に用いられる」などと注釈を加えるものが出てきました(大辞林では2006年の第3版から)。04年度の文化庁「国語に関する世論調査」でも「『とてもすばらしい(良い,おいしい,かっこいい等も含む)』という意味で『やばい』と言う」かどうか聞いています。単なる俗語の変化、それも若者のみと思える現象にどうしてこんなに対応するのか、出題者には不思議です。でも、それは出題者が新聞記事のみを相手に仕事しているからこの表現で困ることが少ないのであって、辞書の編集者や文化庁あたりには取り上げるよう一般からの要請があるのかもしれません。

やばい、この週のテーマは「早春」でした。この週よりは暖かい日が多くなりましたが、まだまだ季語でいう「冴(さ)え返る」(寒さがぶり返すこと)ことがあります。みなさん体調管理にお気を付けて。

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