漢字クイズ(テーマ・日本の異称)結果

2月12~15日の回答割合は次の通り(★が正解)。

日の本 にちのほん 3% ひのほん 4% ひのもと★ 93%
言霊の幸う国 ことだまのさいわうくに 23% ことだまのさきわうくに★ 58% ことだまのさちわうくに 19%
葦原中国 あしはらちゅうのくに 4% あしはらちゅうごく 4% あしはらのなかつくに★ 91%
蜻蛉島 あきつしま★ 44% せいれいとう 15% とんぼじま 41%

この週は建国記念の日にちなみ「日本の異称」をテーマにしました。

岩橋小弥太「日本の国号」(吉川弘文館)によると、日本の呼び名は50ばかりあるそうです。この「読めますか?」で以前出題した「八洲」もその一つです。また日本の読みも「にほん」「にっぽん」の二つあることがよく話題になり、当ブログでも取り上げました

ところが、常用漢字表が改定されるとき、その音訓では日本は「にほん」と読めないことは、それほど話題になった記憶がありません。

2010年の常用漢字表改定では、県名などの固有名詞に使われる漢字の音訓を入れたことが論議を巻き起こしました。茨城の茨、栃木の栃、近畿の畿、韓国の韓など、新たに常用漢字に組み込んだ字だけではなく、既にある常用漢字でも、岐(キ)の備考欄に「岐阜県」、鳥(チョウ、とり)の備考欄に「鳥取県」を加えるなど、県名に関しては常用漢字表にすべて反映させようという懸命な(?)努力が感じられました。

そのことの是非はさておき、県名や隣国の漢字は常用漢字表に反映させたのに「にほん」を反映させないのはなぜでしょう。もしかして、常用漢字表改定に携わった方々は日本の読み方は「にっぽん」だけで十分と思ったからなのでしょうか。しかし、2009年7月に政府は「にほん」「にっぽん」の読みについて「いずれも広く通用しており、どちらか一方に統一する必要はない」と閣議決定しています。どちらも正しいというのに、そして常用漢字表はもはや固有名詞を排除しなくなったというのに、常用漢字表で認められた読みは「にっぽん」だけというのは解せません。

つまりは、常用漢字表に固有名詞を盛り込むという試みが賢明でなかったから、こういう矛盾が生じるのではないでしょうか。まあ、この場で論じるテーマではありませんけどね。

正解率についていうと、「日の本」が高いのは当然かもしれません。しかし漠然と日本の異称と思っていると、そうでない例も多いことを網野善彦「『日本』とは何か」(講談社学術文庫)で教えられました。時代によっては関東、東北、北海道を指す地名として「日之本」などの言葉が用いられたそうです。

同じくらいの正解率の「葦原中国」は、「葦原の中つ国」と送り仮名を入れると簡単すぎるのであえてこうしたのですが、それでも予想以上の高率でした。

最も低かったのは「蜻蛉島」。神武天皇ゆかりの名だそうですが、きっとその名がついたころ、日本列島の秋はトンボで覆いつくされんばかりだったのでしょう。しかしトンボの一種が絶滅危惧種となる現在、もはや日本の異称としては成り立ちません。

「言霊の幸う国」58%。この言葉がいまそれほど普及していないのは、ある意味幸せといえるかもしれません。私たちはいまだに非科学的と思いつつ言霊にとらわれています。しかし少なくとも、「神国」だと教育されて無謀な戦争に「撃ちてしやまん」(神武天皇の歌の一節)と突っ走った時代よりも、受験シーズンに語呂合わせ商品が売れる現在の方が、ずっと罪はありません。勇ましい言葉による言霊を用いて国民を一つの方向にもっていこうとする国家に幸がもたらされるかは疑問です。

おっと、これもこの場で主張するテーマではありませんでしたけどね。
最近の「読めますか?」


校閲グループのお薦め本
「毎日ことば」のアカウント 
「毎日ことば」トップページへ
最近の記事
 
Top