漢字クイズ(テーマ・言論)結果

11月26日~30日の回答割合は次の通り(★が正解)。
悪口雑言 あっこうぞうごん★ 92% あっくざつげん 7% わるくちぞうげん 2%
長広舌 ちょうこうぜつ★ 65% ながこうぜつ 31% ながひろじた 4%
前言を翻す ぜんげんをひるがえす★ 97% ぜんごんをほんす 1% まえごとをさらす 1%
論う あげつらう★ 57% いいあう 13% のたまう 29%
喧々囂々 かんかんがくがく 11% けんけんがくがく 33% けんけんごうごう★ 55%

この週のテーマは「言論」。ですが挙げたのはマイナスイメージの語ばかりですみません。

最も正解率が低かったのは「喧々囂々」でした。「けんけんがくがく」と思っていた人が少なくないようです。「侃々諤々」とは似て非なる意味で間違えやすいのですが、読みも混線しやすいのですね。

ところで出題者が少し前から気になっているのがネット上の「○○非難轟々」の文字。検索ワードの上位に挙がることも多いのですが、「非難囂々」の間違いではないかと解説に記しました。ただ今一つ自信がないのは、「囂々」では分かりにくいのでアクセス数を集めるためあえて「非難轟々」という字に置き換えているのではないか、という疑念がぬぐえないのです。もしそうだとすると新種の「代用漢字」といえるかもしれません。代用漢字とは、本来は当用漢字(今の常用漢字)以外の字を含む熟語を当用漢字で代用することで、「叛乱」を「反乱」に書き換えるなどの例があります。ただし「轟」の字も常用漢字ではありませんので、本来の代用漢字とは違います。ですが「囂々」より「轟々」の方が分かりやすいし非難殺到の状態を表すのに適していると判断され「非難轟々」が選ばれているのだとしたら、単純な変換ミスではないわけです。考えすぎでしょうか。まあ分かりやすくというのなら「非難ごうごう」と仮名交じりにするのが一番ですけど。

「喧々囂々」の次に難しかったのは「論う」。いまマイナスの意味でしか使われませんが、古事記の序文には「小浜に論ひて」国譲りを達成したとあります。これは「日本人は元々話し合いで解決するのを重んじたということかもしれない」と解説で書きました。しかし実際には多分、古代のことですから血なまぐさい戦闘の末、出雲占領が行われたのでしょうね。古代の出雲大社は今の倍もある壮麗なものだったそうですが、オオクニヌシらの怨霊(おんりょう)を恐れた支配者が、自らの安心のために建てたとも考えられます。

しかしそうだとしても、太安万侶ら古事記にかかわった人が武力よりも話し合いを通じた問題解決を重視したと考えるのも、それほど的外れだとは思えません。「和をもって貴しとなす」で有名な聖徳太子の憲法十七条でも、「論う」の語は使われていますし。

それにしても「論う」は漢字と現在の意味がかけ離れてしまいました。「長広舌」も元の語は「仏の三十二相の一つ」を意味する大変ありがたい言葉でしたが、現在は長すぎて迷惑というニュアンスに。「前言を翻」したり「悪口雑言」に陥ったりと、日本ではなかなか健全な言論活動が育ちません。

と思っていたときに耳に入ってきたのが、山中伸弥さんのノーベル賞記念講演のニュースです。ユーモアと感謝の気持ちを織り込み誠実さをうかがわせる内容に、日本人も捨てたもんじゃないと思いました。政治家の皆さんも見習ってほしいですよね。

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