By IvanWalsh.com
「日本銀行の『日本』のルビ(振り仮名)は『にほん』と『にっぽん』、どっちがいい?」――漢字にすべて振り仮名をつけている毎日小学生新聞の担当者が、私たちの職場に聞きにきたことがあります。一般には日銀(にちぎん)と略称で出てくることがほとんどなので、確認しようと手元の辞書を開きました。しかし、広辞苑(第6版)では「にほん」、大辞泉は「にっぽん」と分かれています。この時は紙幣にある「NIPPON GINKO」の表記を「根拠」にしたのですが、後で調べると、日銀は「にっぽん」でよかったものの、日本陸上競技連盟のように「にほん」と読むのにローマ字表記では「Nippon」となるものもあるのを知り、冷や汗をかきました。また日本赤十字社のように「にほん」「にっぽん」どちらでもよいとされるものもあり、適切な振り仮名をつけるのは必ずしも簡単ではないと痛感しました。

最近も、沖縄県・尖閣諸島の一つ、魚釣島につける振り仮名が社内で問題になりました。一般には「うおつりじま」という呼び方が定着しており、慣用を理由にそれを採用しているメディアもある一方、国土地理院の表記は「うおつりしま」で、公的な文書ではこちらを使っているものもあるようです。どちらも誤りとは言いにくいのですが、混在させられないので、毎日新聞としては結局「うおつりしま」で統一することに決めました。

今月から毎日新聞では振り仮名を増やしています。これまでは原則、常用漢字ではない字を含む言葉や、特に読みにくい固有名詞などしかつけていませんでしたが、今後は段階的に、固有名詞や専門用語、四字熟語のほか、読みづらいと思われる字に積極的につけていくことになりました。

「毎日、なるほドリ(注:ニュースをわかりやすく解説するコーナー)を読んでいますが、むずかしい漢字がたくさんあるので、むずかしいかん字には、ふりがなをふってください」。新潟県の小学5年生から送られてきたはがきが社内に掲示されています。09年度の文化庁の世論調査では41%が「日ごろ新聞や雑誌などを読んでいて読めない字があって困ることがある」と答えています。振り仮名の「正解」を見つけにくかったり決めかねたりして悩むこともありそうですが、より読みやすい新聞を目指して努めたいと思います。
【大木達也】

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